みなさんこんにちは。前回からの続きです。1970(昭和45)年開催の「大阪万博」で活躍した、万博を巡る千里の鉄道を中心にした交通機関についての企画展「振り返ろう懐かしの千里万博の時代」訪問記をお送りしています。


今回の企画展展示の主題、千里丘陵で開催された先の「大阪万博」会場に直結していた「北大阪急行電鉄(北急)〜地下鉄(現在のOsakaMetro)御堂筋線」ルートについて、会場の南千里をいったん離れて項を進めています。



会期中に約2000万人以上を運んだという、このメインルート。企画展での写真展示とともに、新大阪駅から実際にこの万博会場へのルートを辿り、引き続きあれこれと掘り下げてみようと思います。グーグル地図より。



さて、ようやく?本題に戻ります。

引き続いて「千里中央駅(大阪府豊中市)」。

現在は北急の終着駅で、府内北摂地域の交通拠点です。


ところで、先の大阪万博会場への観客輸送を目的にして開業したのが北急、ということは先日から触れているところです。




あらためて当時の路線図を確認すると、いま居る「千里中央駅」の次は、会場の中央ゲート前に会期中のみ(正確には、会期前の2月末に開業)設けられていた「万国博中央口駅(同吹田市)」。仮設駅だったため現存していません。


これに至る「千里中央〜万国博中央口間」は仮設線で、万博閉幕の翌日(昭和45年9月14日)には廃止となり、中央口駅ともども年内には撤去されてしまいました。出典①。



では半世紀以上前、わずか半年あまりしか存在しなかった「千里中央駅」から「万国博中央口駅」までのルートというのは、いったいどこをどのように通っていたのか。出典②。



ここからはそのルートを辿りながら、万博会場の跡地になっている「万博記念公園」に向かってみることにいたします。



「千里中央駅」から折り返して「なかもずゆき(堺市北区)」の最後部に乗り込みました。


ここからはしばらく、このような方向で後面展望をご覧頂きます。列車は、次の「桃山台駅(同)」に向かいます。




地下ホームを抜けると両渡りポイントを通過。その先には、緩いカーブが続きます。


新大阪の手前から地上に出て、ずっと両脇を並走していた「新御堂筋(国道423号線)」から東に別れるためです。



ほどなくしますと、営業線の右側に大きく口を開けたトンネルを発見。車両側の柱で隠れていますが、複線断面のそれです。


バラスト(道床砂利)はもちろん枕木や線路の類もまったくありません。不思議なトンネルですが、これが右方向(北東)に別れています。



実はこれが、万博会期中に「万国博中央口駅」に至っていた「会場線」の地下線の廃線跡なのでした。地下線内で分岐をしていたのですね。




南千里の企画展会場の展示には、このような写真を見つけました。


「桃山台駅」からやって来た、観客を満載した「万国博中央口ゆき」がこの場所で、くだんのトンネルに分岐しようかというところ。



手前に延びるのは、現在の「千里中央駅」に至る本線路。すなわち、ここまで通って来た線路です。日付は9月12日ですので、閉幕の前日。


しかし、よくこのような貴重なショットを残して居られたなと感心します。もちろんはじめて拝見しました。



後面展望では、あたりからこちらを向いたところのショットになりましょうか。


このトンネルは、万博会期中のわずか半年間しか使用されなかったもの。「半世紀以上を経ていまなお残る幻のトンネル」といえましょう。実に、貴重な痕跡です。



先ほど触れたように、万博閉幕翌日(昭和45年9月14日)に「会場線」は廃線になります。


13〜14日の深夜帯にかけてここで線路の切り替えが行われ、現在の「千里中央駅」へ至るルートが完成。現在の駅が開業しました。出典②。




「幻のトンネル」のインパクトがあまりに強くて仕方がないのですが、よくよく思い出しますと、半年間だけの「会場線」が地上を走っている数々のショットを、企画展展示ではこのように見かけました。


ということは、地下線内で分岐して、このトンネルに入った「万国博中央口ゆき」は、どこでどのように、地上に出ていたのでしょうか。



さらに、万博当時の路線図には確かに「千里中央」の駅名が記されています。出典①。



ただ、現在の「千里中央駅」が切り替え場所の北側にある、すなわち「会場線」の沿線ではない。となると「会場線」があった当時の「千里中央駅」はどうなっていたのか?出典③。



一挙に疑問が湧き出て来るのですが、そのあたりをさらに探ってみることにします。


次回に続きます。

今日はこんなところです。


(出典① 阪急うめだ本店「鉄道模型フェスティバル2023」パネル展示)

(出典②「北大阪急行電鉄」ホームページ)

(出典③「ヤフー地図アプリ」)