みなさんこんにちは。前回からの続きです。

今春に開館したばかりだという「大阪中之島美術館(大阪市北区)」にやって来ました。
明日(10月2日)まで開催の、開館記念展「みんなのまち 大阪の肖像 第2期展」観覧がその目的です。

近代大阪の足跡を、絵画や資料、モックアップなどで回顧するという企画展。戦後から昭和・平成に至る歴史の、さまざまなものが展示されているということで、楽しみです。
それでは、早速観て参りましょう!
期間内ですので、ネタバレ申し訳ありません。

会場に入って参りました。
当然と言えば当然なのですが、この類の展覧会というのは、撮影はもちろん禁止。

しかし、1970年代の最先端技術を駆使した再現住宅と、同時期に次々と登場し、それまでの暮らしを一気に近代化させた家電製品類の展示については、撮影OK。
いちばん肝になるところですのでありがたい。

さて、解説にあるように、大阪という場所は家電製品メーカーの勃興が盛んなところでした。
松下幸之助翁(1894-1989)が福島区・野田で創業した松下電器(現在のパナソニック)をはじめ、そこから戦後に暖簾分けした三洋電機。また、シャープやダイキンなどもです。

さらに「魔法瓶」から派生して、炊飯器製品にも展開した象印や、タイガーもそうです。
それら大阪に由来する会社の洗練された製品が渾然一体となって、今日の基礎に当たる、豊かな生活スタイルのさまざまな要素を築くことになった、とこれからは読めました。

その目玉というのがこちら。「1970年代実物大工業化住宅 みんなのおうち」。
積水ハウスによる、1975(昭和50)年の施工を再現したものだそうです。これは本格的な。

ところで、家の前でうろちょろしていますと、係の方からこのリーフレットを頂きました。
このお家と内部のインテリアや家電、備品などについて詳しく解説しているものだとのこと。

当時は「高度経済成長」が終焉を迎え、オイルショックに伴う、狂乱物価が跋扈していた頃。
大都市近郊で急激な宅地開発が進み、住宅不足が大きな問題としてあったようですが、そんな中、家庭用住宅の建設技術も、ハウスメーカーの競合で著しく向上したのが、この頃だといいます。くだりにあるように「量より質」へと、時代の要請が変化して来たことがわかります。

特に、予め決められた単一的な間取りではなく、間取りのみならず、建材やインテリアに至るまで、オーナーが多種多様な選択をすることが出来るようになったということが、大きな特徴だったようです。

わたしは建築はおろか、建材に関してなど詳しくありませんが、軽量ながら耐久性のあるパネル材や鉄骨支柱を組み合わせるという、今日では当たり前になっているような構造が普及した頃、ということだけはわかりました。
確かに、建材用品が大量生産されるとなると必然的にコストは安くなりますし、技術も格段に向上して来るとなると、一軒家を持ちたいという人々の需要も増して来る訳です。
当然ながらのことでしょうが、時代背景を考慮すると、なるほどと感心してしまいます。

さて、この建物は平屋で、こちらは庭があるという側。それに面した、この頃から多用されはじめた大きな、アルミサッシュ枠のガラス扉。

そこから覗いて見ますと、ああ、なんと懐かしいものが並ぶ、なんと懐かしい光景。
決して大げさでなく、アラフォー世代のわたしにとっては、琴線に響くものがいっぱいです。
次回に続きます。
今日はこんなところです。