みなさんこんにちは。前回からの続きです。
「和歌山駅」「和歌山市駅」が玄関口の役割を果たす、現在の和歌山市内中心部の鉄道駅。
さらに「紀和駅(きわえき)」や「中ノ島駅(なかのしまえき)」という駅もかつてはそれに関わるなど、今日に至るまで、深く複雑な経緯を有していたことについて、ここまで実際に現地を辿りながら取り上げて来ました。


そういったことで、久し振りの和歌山は、実に収穫の大きい訪問になりました。天気も最高でしたし…


さて、後は帰阪するだけです。
「南海和歌山市駅」から大阪なんばへの「特急サザン」は、日中30分おきの運転。
指定席は、発車間際でも簡単に取れました。

行きは、最新型の「サザンプレミアム」車両だったのですが、帰路にやって来たのは、昭和60年代に登場した車両でした。


ただ、個人的には、長年見慣れているこちらの車両の方が落ち着くという…


車内は「サザンプレミアム」と同じく、2列×2列のリクライニングシートが整然と並ぶ、オーソドックスなものでした。

わたしには十分な設備ですが、最近は南海に限らず、座席に設けられたコンセントのありなしでだいぶ評価も違うようです。

待つことしばし。
「和歌山市駅」をゆっくりと発車。



隣には「JR紀勢本線」が並走します。
「和歌山市駅〜和歌山駅間」を、途中で「紀和駅(初代和歌山駅)」があるのみの、短いローカル線でした。

ここで、南海とJRをつなぐポイントを通過。
かつては、南紀に向かう直通急行「きのくに」が行き来した重要な地点でしたが、いまはただ古く、草生しているのが印象に残ります。




JRと離れますと、南海はそのまま北へ。
雄大な「紀の川」を赤く、長い鉄橋で渡って行きます。「和歌山に来た」と、いつも印象的なところですので、これでしばしのお別れです。

そんなこんなで、約1時間で「南海なんば駅(大阪市浪速区)」に無事到着。
繰り返しですが、実に意義深い現地の訪問と探索でした。

現在はJRが「和歌山駅」、南海が「和歌山市駅」がその玄関口を構える、和歌山市内中心部の鉄道ターミナル。




しかし、時代の経過や路線網の発達とともに、
その地位や役割というものが大きく変化していたことを、実際に訪問することで詳しく知ることが出来ました。

忘れ去られつつある遺跡も、ひもといてみるとかつては、重要な交通の経過であったとわかると、さらに、その歴史というものの深みを感じるものであると、あらためて噛み締めます。


本題の「阪和電気鉄道」からの視点ですと、和歌山方のターミナル駅を設定する上での要件というものは、1930(昭和5)年に和歌山までの全線が開通した際、すでに開業していた「鉄道省紀勢本西線(現在のJR紀勢本線)」との直通を容易にするために、当時は街外れだった「東和歌山駅(現在のJR和歌山駅)」に決定した、ということが大だったでしょうか。

その目論見は見事当たり、大阪から超特急に牽かれてやって来た南紀白浜方面への「黒潮号」は大盛況、今日の「特急くろしお号」へその歴史はつながることになったことも、大きな出来事に思えます。出典①。

ところで、和歌山の駅で悩みつつ買い求めたおみやげは…こちらの「柚もなか」でした。

以前にもおみやげで入手しまして、なんとも味わいのある、上品な甘さがたまらぬものです。
思いを馳せつつ、おいしく頂きました。
やはり、和歌山はおいしいものばかりです。
(出典①「阪和電鉄 沿線御案内」阪和電気鉄道発行 昭和9・11年)
長駆、お付き合いくださりありがとうございました。今日はこんなところです。