この機会に顧みる「大阪弁」を大阪人が語ってみる 後編 | 「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」ありのまま生きてこう 自分を磨きながら

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「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」公開中!趣味の鉄道の話題を中心に、旅行記や生まれ育った東大阪、敬愛するロックシンガーソングライター・松阪晶子さんについてなど綴りたいと思います。

みなさんこんにちは。前回からの続きです。

 

 

おうちで楽しめることを探してみようということで、定番の(コテコテの?)大阪弁を、大阪人のはしくれであるわたしの、思いっきり主観でもって語ってみるということをしています。

 

出典は、こちらの「各駅停車全国歴史散歩28 大阪府」(大谷晃一著・河出書房新社刊 昭和55年1月初版 絶版)からです。

 

 

 

 

今日は「すかたん」からです。 

「当て外れ」「見当違い」「とんちんかん」…と、代表的な意味合いが解説されていますが、「あいつはすかたんやから」というように、一見言葉の上では突き放しているように見えるものの、やはり「大阪独特の親愛の情」からでしょうか、「あいつはどないしょうもないことをいつもしよるけど、憎めんやつやからなあ」という趣意が、多分に含まれています。

「どこか抜けとるけども、暖かく見守ってあげようやないか」というものでしょうか。

 

またこれも、昨日の記事でも触れたように、料理の味でも使用されることがあり「なんか、すかたんな味やなあ」とも言うことがあります。

事前の期待値が高くて、想像していたものよりも劣っていたり、大したことなかった、あれ何かちゃうな(違うな)?、味にワンパンチ足りへんな(→大阪人なら「塩と砂糖を間違えとるんと違う?」などと、すかさずネタにしたりする)などというような場合に使うことが多いように感じます。

 

「期待外れ」の表現の代表的なものでしょうか。「すかたんな味」のものは「自分から進んで食べたいとは思わへんけど、どうしても食べなあかんとなったら、まあ食べられへんこともないわな」という、微妙なニュアンスです(笑)

 

 

次は「ぼちぼち」です。

この書籍が発行されたのはおよそ40年前ですので、当時は「ぽちぽち」とも呼称する向きもあったのでしょうか。

現在ではほぼ「ぼちぼち」に統一されているように感じます。「ぽちぽち」というのは、少なくともわたしは聞いたことがありません。

 

「儲かりまっか」→「ぼちぼちでんな」というやり取りは、大阪弁のステレオタイプのように語られているようにも感じるのですが、実はそういうようなやり取りはあまり聞きません。「(お商売の具合は)どないでっか」「ぼちぼちでんな」という感じでしょうか。

「ちょっとずつ」とか「少しずつ」、「まあまあ」、「現状維持」という意味合いがありますが、たいがいの場合は「悪くはない状態」という時の、ポジティブな表現だと思います。

 

逆に問題が深刻であったり、本当にどうしようもないような時は「さっぱりわや」、「わやくちゃ」などと言います。「わや」とは、「すべてむちゃくちゃ」とか「どうしようもない」という意味合いの、同じく古い大阪弁です。

 

 

最後は「ややこしい」です。

全国的には「込み入っている」「こんがらがる」の意味とありますが、やはり微妙なニュアンスが大好きな?大阪弁では、また違う意味合いがあります。

 

「あの人はややこしいやからなあ」というと「気難しい、付き合いがしにくい、トラブルメーカー、性格に難がある」ことを示すのですが、これが「あの人はややこしいからなあ」と「人」を外して言うと、どちらかと言うと、人柄ではなくて、その人のプライベートなこと(男女関係が多い)や、仕事や家庭のことなどにまでその範囲が広がって表現されます。

 

「いまはちょっとややこしいことになっとる」では、人間関係や仕事上のことで、なんらかのトラブルがある、ということを暗にアピールしている、と捉えられます。いずれにしても、具体的な内容を言うのを差し控えて、相手にそれとなく事情を察して貰うということは共通しているように感じます。

使い方としては上級者向けなので、まさに「ややこしい」ものです(苦笑)

 

 

そういったことで、昔から馴染みの、愛する「大阪弁」について、思いっきり主観を交えて項を進めて来ました。

初回の記事でも述べましたが、同じ「大阪弁」でも「河内弁」「泉州弁」「北摂弁」、あるいは大阪市内の「浪速言葉」など、府内では結構な差異があるので「河内弁」で育ったわたしの解説では、ん?と思われる方も居られるとは思いますが、なにとぞご容赦ください。

 

ちなみに「河内弁」はもっと荒っぽい大阪弁で「語気が強い」というのが特徴でしょうか。

 

「きつねうどん」→「けつねうろん」

「ぜんざい」→「でんだい」

「座敷(ざしき)」→「だしき」


などと言うことがあります。もとの言葉が消されるほどのものですので、若い人は言いません(笑)

他には、相手のことを「ワレ(我)」、「しやがる」を「けつかる」(より柔らかい表現では「しよる、しょる」)。

 

 

「やっつける」「やっつけてしまう」を「いてまう」と言います。

かつて存在したプロ野球球団「大阪近鉄バファローズ」の代名詞『いてまえ打線』は、ここから来ています。やんわり?意訳すると「いてまえ=やっつけてしまえ」(近鉄球団のかつての本拠地は、南河内の「藤井寺球場」でした)。


これの汎用としては「いてこます」「いてもたる(もうたる)」「いてまわす」などありますが、それこそ酒が入った時や、もめ事のような「ややこしい」時くらいしか、最近は使いません。お察しの通り、ガラ悪い言葉です(苦笑) 

 

おつきあいくださり、ありがとうございました。今日はこんなところです。