住江織物「鉄道車両内装の歴史展」を訪ねて その5 | 「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」ありのまま生きてこう 自分を磨きながら

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「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」公開中!趣味の鉄道の話題を中心に、旅行記や生まれ育った東大阪、敬愛するロックシンガーソングライター・松阪晶子さんについてなど綴りたいと思います。

みなさんこんにちは。前回からの続きです。

 

 

大阪・心斎橋にある「住江織物」さんの本社・ショールームで行われていた、「鉄道車両内装の歴史展 明治・大正~昭和のモケット」という

企画展を訪れた際の様子をお送りしています。

 

 

展示を拝見していますと、同社が手掛けたモケット製品は、明治・大正期から昭和初期にかけて、前回の記事でも触れましたが、当時日本が統治していた、外地の鉄道でもさかんに導入がなされていたようです。  

 

その中でも、昭和20(1945)年の日本の敗戦まで統治されていた、朝鮮半島の鉄道「朝鮮総督府鉄道」「朝鮮鉄道」もその例でした。

 

 

こちらはその「朝鮮鉄道」車両で使用されていたというモケット。鮮やかな緑地に草々。

明るいイメージの中に、レールの形状を模した紋が印象的なものです。

 

 

 

そして、これは「総督府鉄道」車両のもの。

1等車両に使用されていたとのことですが、こちらも深い緑地に気品のある、独特な紋様です。当時は、等級によって使用するモケットも違っていたようで、そのあたりも興味深いものです。

 

 

これも1等車、それも「展望車」の座席モケットに使用されていたものだとのこと。

 

 

こちらは薄い緑地のものですが、複雑な紋様に思わず目が行きます。

列車内でも最上級な場所だったのですね。 

 

 

解説によると、展望車が連結されていたのは、総督府鉄道初の「特別急行 あかつき」号という列車だったようです。

運行されていたのは「釜山~京城(現在のソウル)」間。総督府鉄道の列車の中でも、特に重要な列車だったようです。

 

ちなみに、総督府鉄道のみならず、日本国内でもこの当時の「特急」はその殆どが、略さずに「特別急行」と称されていました。

その重要な性格上ゆえ、文字通り「特別な急行」という存在だったことが窺えます。

 

 

それでは、ここでも前回取り上げました復刻版時刻表、「満州朝鮮復刻時刻表(日本鉄道旅行地図帳編集部編、新潮社刊)」から、当時の様子を紐解いてみたいと思います。

 

 

セットに収録されていたのは「朝鮮鉄道時刻表(朝鮮総督府鉄道局編纂・発行)」、昭和13年2月号。

 

 

くだんの「あかつき」号も、日本国内から朝鮮半島連絡に重きを置いた、主要な列車だったことがわかります。

 

「あかつき」号を利用した、当時の朝鮮半島各地区へのアクセスとしては、国内からまず下関(山口県下関市)まで行き、そこから「関釜連絡船(かんぷれんらくせん)」で釜山へ。

7時間半ほど要する、船便だったようです。

 

 

釜山には、翌朝の6時に到着。

50分の待ち合わせで「あかつき」号が接続しており、大邱(たいきゅう、現在のテグ)、大田(たいでん、現在のテジョン)の2駅のみ停車し、 昼の1時半過ぎに京城(けいじょう、現在のソウル)に到達出来るというものでした。

 

その他の駅の多くを通過していることから、朝鮮半島の主要な都市への連絡を重視した、重要な性格の列車だったことがわかります。

 

 

巻頭の鉄道地図を見てみますと、当時の京城から先にも鉄道網が広がっており、平壌(へいじょう、現在のピョンヤン)や、さらにその先では国境を越え「満州国」方面にも、直通列車が運行されていました。

 

わたしのブログでは、政治的なことについては言及しないのですが、戦前にはこれらの地域では実に広域な鉄道網が巡らされていたのだなと感じます。

前回の記事でも触れたことですが、今回、展示させている貴重なモケットに秘められた、歴史の背景を探って行きますと、実に重みのあるものなのだなとも感じる次第です。

  

 

さて、「住江織物」さんが手掛けた製品の中には、他にも興味深いものがありました。 

なんと、国会議事堂で使用されている議員さんの椅子、これにも同社の製品が使用されているのだとのこと。これには驚きました。 

 

 

現在は別のものが使用されているそうですが、あっ、そういえばこのような豪華な柄やなあ!と思い出します。 

先日、参議院選挙があったのは偶然なのでしょうが、こういったところでも製品が使用されているとは気付きませんでした。

知らないところで、目にしたりしていたんですね。目からウロコです。

 

次回に続きます。

今日はこんなところです。