みなさんこんにちは。今日の話題です。
手元の人気鉄道模型「鉄道コレクション」を愛でながらあれこれ語るという記事をお送りしています。 










続いては妻面(つまめん、運転台のついていない側)。 






今日取り上げるのは、ブラインドパッケージ(開封するまでどの車種が封入されているかわからない)の「第12弾」で発売された…

「高松琴平電気鉄道601・602号車」です。
四国の玄関口・高松の近郊に路線を延ばす「ことでん」の「600形」という形式の車両ですが、パッケージの解説には「元名古屋市の地下鉄用車両」とあります。

そう、前回の記事の最後で取り上げました「名古屋市地下鉄 250形」を譲受し、改造したのがこの「高松琴平電気鉄道601・602号車」という訳です。

それでは、この「601・602号車」をあれこれと観察してみたいと思います。

まずはこれを正面から。
断面がまっすぐのいわゆる「切妻」の運転台側、右側の窓が大きく取られているのが特徴でしょうか。
元になった「名古屋市交通局250形」は廃車になった開業以来の初期車両のうち、その中間車を改造して製造されたものだそうですが、従来の車両とはまったく異なるこのような窓配置になりました。ことでんに移っても、これは変わらない大きな特徴です。

こちらは「601号車」、パンタグラフのついている車両です。
側面を観察しますと「15m級車体」ということで、こじんまりとした感じが手に取るようにわかります。

こちらは前回の記事で取り上げました「名古屋市交通局300形」。
「ことでん601・602号車」の種車となった「同250形」とは形式は異なりますが、車体構造はほぼ同一。そういうことで、窓・扉配置などもまったく同じです。

運転台側を拡大。非冷房車ということで、通風器を兼ねた二重屋根が特徴だということは、前回の記事でも取り上げたのですが…

「ことでん」へ入線するに当たっては「第三軌条方式集電(線路横に設けられた第三のレールから集電する方式)」から「架線方式集電(通常鉄道のパンタグラフを用いて頭上の架線から集電する方式)」への改造などが行われたのですが、ここで差異が目立つのは、名古屋時代にはなかった「屋根上の冷房装置」でしょうか。

車体側面と一体化した丸みを帯びた屋根だったのが、冷房装置とパンタグラフを設置するため屋根の両側が切り欠き改造され、二段になっているのが目に留まります。

台車は特徴的な形状ですが、これは名古屋時代のものを流用しています。
ただし、先ほど触れた「第三軌条集電」にまつわる、第三レールから集電する器具類はいっさい撤去されています。
この手の移籍をする場合、台車は別の車両のものと取り換えられるケースが多いのですが、改造を経てもそのまま活用されている例は珍しい部類に感じます。

名古屋時代にはなかったパンタグラフが取り付けられていますが、小柄な車体ということもあってでしょうか、妻面ぎりぎりの場所にあるのが興味深いものです。
このパンタグラフは、京王電鉄の中古品なのだそうです。

ペアになっているのが「602号車」。
こちらにはパンタグラフはついていません。

これらを並べて屋根上から。
屋根上には強度の関係からでしょうか、縦に種車時代の屋根の一部が残されていて、その上に冷房装置とパンタグラフが設置されています。
こうしてみますと、パンタグラフの位置が車体ぎりぎりであることがあらためてよくわかります。

妻面を観察。広い貫通路です。

やはり、名古屋時代とまったく仕様は変わっていません。この、広い貫通路と両側の極狭な窓は、名古屋の地下鉄車両独特のつくりです。
しかし、冷房装置・パンタグラフの新設などの差異があれど、種車の面影がこれほど残されているのも興味深いものだなと感じます。
ところで…

よく思い出してみますと過去、この「600形」に乗ったことがありました。
もう8年も前のことですが、青春18きっぷで高松へ日帰り旅した際のことでした。
実際に乗車して記録に残っていたのがこの「803号車」、モデルになった「600形」の増結用車両です。面影がばっちり残っています。

ところで、前回取り上げた「名古屋市交通局 300形」のパッケージには、やはり「ことでん」へ譲渡された「1000系」という車両の紹介もありました。

その「1000系」を改造した「ことでん700形」(出典「Wikipedia #高松琴平電気鉄道600形電車」より)。
従来「ことでん」で使用されていた旧型車両の更新時期が迫る中、名古屋市交通局でも新型車両への置き換えで「黄電」と呼ばれた、開業当初からの車両が大量に廃車になりました。
これらが「ことでん」の小型な路線規格に合致することから、今回取り上げた「名古屋市250形→ことでん600形」のようにまとまった数の車両が譲渡されることになったそうです。
遠く離れた四国の地で第二の人生を歩むことになった「名古屋市交通局」の車両たち、バリエーションもさまざまなものがあり、今後もその活躍が期待されるといったところでしょうか。
今日はこんなところです。