みなさんこんにちは。今日の話題です。
先日入手したものの、しっかりと愛でていなかった人気鉄道模型シリーズ「鉄道コレクション」を細見しようかというシリーズをお送りしています。

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本日、取り上げるのはこの「阪神7001・7101形2両セット(行先表示器設置前・行先表示器付き)2種」。模型店などでの一般発売ではなく、鉄道会社から発売された事業者限定の商品でした。
同一形式ではあるものの、登場時には設置されていなかった正面と側面の行先表示器のありなしという差異が楽しめるようです。

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商品の説明書きから。昭和45(1970)年に阪神初の冷房車として3両固定編成でデビュー、技術面においても当時としては最先端の技術が導入されたという、革新的な車両だったようです。
後年に6両固定編成の「2200系」として改造され、形式消滅したとのこと。

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パッケージを見ていますと、わたしなどの世代では「阪神電車」というと、この「ベージュに朱色」という「赤胴車(あかどうしゃ)」を想起させられます。いまでは既に見られない塗装ですが、どこか懐かしい感じがします。

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それでは、実際の商品を見て参りたいと思います。
まずは「行先表示器のないタイプ」から。先頭車両が「7001形」です。

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運転台側を観察してみますと、行先標識や種別板を引っかける装具、貫通扉の下に渡り板と、細かいところまで再現されているのに感心します。

ところで「かつての阪神電車」というと「珍しい連結器を使用していた」ということも、趣味的に興味深いところでしょうか。一般的な連結器より小ぶりなサイズの「バンドン型連結器」もしっかりと再現されていました。
現在では「阪神なんば線開業(2009年)」に伴う近鉄への相互乗り入れに合わせ、他の鉄道会社でも見られる一般的なものに統一されてしまいました。

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続いては、車体側面を拝見して行きます。

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約19m級の車体には、両開き式の客用扉が3枚。
通勤輸送に特化した車両なのですが、行先表示器がないものを再現したこの車両には、側面には「サボ差し(黒□部分)」が設けられているのに目が行きます。ここに「特急」「急行」など、手差しのサボを掲出して運用に当たっていた名残です。

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中間車両の「7101形」と並べてみます。貫通扉の下半分の緑調の塗装など、よく再現されています(この形式のみならず、実車では車内に入るとこの緑調でまとめられているので個人的にはなおのこと…)

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こちらは、下枠交差型のパンタグラフが2丁載っています。

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中間車両でも、やはり「サボ差し」が然り設けられています。
とはいえ、実際にはその光景を見た記憶はないのですが…正面・側面への行先表示器の設置は、昭和58(1983)年から開始されたのだとのこと。

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この2両の屋根上から。冷房機が整然と並ぶ姿にすっきりした印象です。
中間車両(上)では、先頭車両には設けられている室外機の場所にパンタグラフがうまく収まっているのがわかります。

国鉄(当時)・阪急電車との競合の激しかった路線柄、昭和40年代以降の当時としては、この車両の登場を期に車両の冷房化率がすこぶる向上するなど旅客サービスを重視したのはまさにこの「阪神電車」だったそうです。

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それでは「行先表示器設置後」の車両も見て行きたいと思います。
先頭車両、オデコの部分にうまいこと?スペースがあり、表示器が埋め込まれているのが見て取れます。

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表示器設置後(手前)では先ほど触れた「サボ差し」は撤去されています。

しかしこうして先頭車両を見ていて、いまさらながら気づいたことなのですが、阪神の先頭車両というのは正面の貫通扉が結構奥まった位置に設けられているのだなということでしょうか。この側面からの角度ででは、手前の車両の貫通扉は視認出来ないほど深い位置にあるなと感じます。

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付属していたステッカーについても取り上げておきたいと思います。

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こちらは「行先表示器設置前車両」のもの。「西九条⇔尼崎」という「西大阪線(現在の阪神なんば線)」のものもあるではないですか!

現在「西九条(大阪市此花区)」からさらに東へ延伸されて近鉄電車と相互乗り入れしている「阪神なんば線」ですが、この板を使用していた頃、つまり「西大阪線内折り返し時代」はとかく電車や駅は空いていたのを思い出しまして、隔世の感を受けます。

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そして「行先表示器設置後」のもの。少しラインナップが変わっています。

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ただ、どちらのステッカーにもあったのが、この「特急」のサボでした。

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この「特急マーク」は実に「阪神特急」のシンボル的な存在でした。
表示器がない時代はもちろん…

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表示器が後年、設置された後でもこのように変わらず掲出されていました。
これがあることで「特急列車」ということが一目で視認出来るというメリットがあったからでしょうか。それほど今日に至っても印象に残っています。

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それではここで、手元にあったこの書籍からも、商品のモデルとなった「7001・7101形」の活躍する姿を拾ってみたいと思います。
(「日本の私鉄12 阪神」廣井恂一・井上広和共著 保育社刊 昭和57年発行)

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幼い頃に、穴が空くほど読み倒した「カラーブックス」というシリーズなのですが…ページをめくって行きますと、阪神というとやはり「タイガース」でしょうか。「阪神梅田駅(同北区)」で発車を待つ「甲子園ゆきノンストップ臨時特急」が大写しになっていました。ヘッドマークも特製ですね。
余談でした。

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本題に戻りまして、くだんの「7001・7101形」のページにやって来ました。書籍が発行されたのは行先表示器が設置される前年(昭和57年)だということなので、登場していたのは「サボ差しのある登場当初の姿」。

この形式のみならず「ベージュに朱色」という車両も、あたらしい塗装に変更されたいま、商品ともども実に懐かしい思い出が甦りました。
小さい頃の思い出を手元で回顧出来るとは、これが鉄道模型ならではの楽しみ方なのだなと感じた次第です。いやしかし、懐かしさでいっぱいです。

今日はこんなところです。