
新交通システム、「六甲ライナー」の「六甲島検車場」(神戸市東灘区)で先日6日に開催された「六甲ライナーフェスティバル」を訪れた際の様子をお送りしています。

構内には引き込み線、作業スペースなどが設けられていて、開場の直後でしたが多くの観客でにぎわっていました。さっそく、この類の「開放イベントのだいご味」と言える車両器具類の展示を拝見していくことにします。

検車場の中央に鎮座していたのがこちら、今回の展示のメインのようです。
「台枠の状態に分解された台車」でした。

隣に展示されていた、この車両の模型から見てみますとこのような感じです。
ここで気づくのが、鉄車輪を使用している一般的な鉄道とは異なり、走行方式がゴムタイヤであるということです。

再度、展示されている台車を見てみます。一般的な鉄車輪のものとはひと味違う印象を受けます。
「出っ張りのある棒と直角に軌道が敷設されている」という位置関係です。

台車の中央部分には、円形になっている回転軸があります。
ゴムタイヤは、黄色く塗られた部分の外側に設置されていて、内側のこの部分が「ブレーキ系統」に当たります。
青い矢印の「ブレーキディスク」を、赤い囲い部分の「ブレーキパッド」ではさんで制動(ブレーキ)を掛ける、という仕組みです。

続いては、そのゴムタイヤを観察してみることにします。
車庫に留め置かれている、実車を側面から観察するのですが…

ただ、手前のカラーコーンの大きさと比較してみても、意外といいますかそれほど大きくないように感じられます。ちゃんと滑り止めの溝もついていることがわかります。

かたわらにあった説明文をみますと、タイヤは窒素ガスで充填されているとのこと。
また、パンクなどの事故を想定して、内部にはアルミ製のH字型の鋼材(中子=なかご)が円状に配置されているそうです。
そういった緊急の際ですと、乗り心地は多少ごつごつはするでしょうが、安全に停車することが第一でしょうし、鋼材が使用されていますと荷重もかかりますから、なるほどなと思えます。ただ、鋼材が入っているとは想像もつきませんでした。また、この手のタイヤの内部材というのはウレタンだとも思っていたので、窒素ガスとは意外な感じもします。

さて、その「ブレーキ系統」の横には、これまた特徴的な「長く延びる棒状の突起」があります。

実際の車両ではこのような感じ。突起の先端部にはなにやら特徴的な、大きさの異なる円形で平面状の器具が取り付けられています。ちょうど、その間に鉄骨材がはさまっていて、どうやらこれらの器具が横に回転するようになっているようです。
またその上にはオレンジ色の、ちょっとものものしさ?を感じるような把手が3本設けられています。

これらをばらした展示もなされていました。パイプいすとの比較で大きさがわかりやすく感じられますが、結構大きいです。

まず、このオレンジ色の把手は「集電装置」でした。

「六甲ライナー」車中から見た軌道内の様子。
中央にコンクリート製の軌道が2本延びていますが、この上をゴムタイヤを履いた列車が通過する仕組みになっています。
その向かって右側にある「3枚の金属製パネル」(青い矢印)に電流が流れていて、先ほどのオレンジ色の器具(先端に集電用の金属板が取り付けられている)を用いて集電を行っているとのこと。

もう一つ、先ほどの軌道で左側に見える、H型の鋼材(赤い矢印)の溝部分に沿って設けられているのがこれでした。

これは「案内輪・分岐輪」というもので、一般鉄道であればフランジのついたレールに車輪が導かれるという仕組みになっているのに対し、この新交通システムの場合には、突起のない平面のコンクリート軌条の上を進むがために、この案内輪(上部)・分岐輪(下部)を使用して、ゴムタイヤを導いている、という訳です。

ということで、一般鉄道とはかなり趣きの異なる「新交通システム」です。
ここまで見て来た中で感じたのが、集電やゴムタイヤの誘導にともなう設備がかなり機械的で、さらに精密であるということでしょうか。
実際に「阪神・淡路大震災」(1995年1月)において、この「六甲ライナー」も大きな被害を受けたのですが、そういった複雑な設備や、全線が高架路線であるがために、復旧には相当な時間を要したといいます。

ところで台車をもう一度、上から覗いてみます。
二つ並べて展示されていたものうち、この手前のものは車軸間が空いていまして…

奥に置かれているこちらのものは、車軸間にも機具が設けられています。

後者には「主電動機」(モーター)が取り付けられているがためでした。
六甲ライナーは4両編成ですが、各車両の片側にこれが装備されているとのこと。

台車の製造プレートを見ますと、やはりというか地元の「川崎重工業」でした。
工場は兵庫区の海辺にあり、国内外問わず多数の車両を製造しているという、日本を代表する車両製造メーカーとして知られています。
では、もう少し展示を拝見してみたいと思います。
今日はこんなところです。