10月14日の「鉄道の日」にちなみ、全国の鉄道事業者においてさまざまな催しが行われています。11月に入ってもこちら関西でも毎週末ごとにそういった催事が続いているのですが、先日にもとあるイベントがありました。

ということで、以前から関心のあった、神戸市の「六甲ライナー」の車両基地公開イベントに行って来ました。車輪で走る一般的な鉄道とは異なり、「ゴムタイヤを使用している新交通システム」ということで、設備や装備面で大変興味深いものがたくさんでして、個人的には「目からうろこ」に感じた次第です。
今日からは、その折の様子をシリーズでお送りしたいと思います。
よろしければどうぞおつきあいくださいませ。

11月6日(日曜日)。まずは、最寄り駅からこちらの「JR尼崎駅(あまがさきえき、兵庫県尼崎市)」へ出ます。この駅までは乗り換えなしで来れるというところです。

「JR神戸線」の快速電車に乗り換え、15分ほどで「住吉駅(すみよしえき、神戸市東灘区)」に到着。この駅に降り立つのは結構ひさしぶりです。

住吉駅周辺の位置関係はこんな感じ。
神戸の玄関口、三宮(さんのみや)へはここからさらに10分ほど進むと到達出来るところで、この住吉駅がある「東灘区」は神戸市の最東端にあたるという場所です。

その「JR住吉駅」から南方向へと分岐しているのが、今回の探訪の主目的である「六甲ライナー」ですが、どこへ向かっているかと言いますと…

東灘区の南側、大阪湾の海上には「六甲アイランド」という人工島があります。
「神戸」は山と海にはさまれている地勢で、市街地の造成・開発が難しいという事情があったのですが、「沖合の大阪湾を埋め立てて人工島をつくる」というプロジェクトが昭和40年代から行われました。

上空から見た「ポートアイランド」と「神戸空港」。
今年6月、関西空港発・新千歳ゆきの「ジェットスター」機内より撮影。
最たるものが、昭和56(1981)年に神戸港の沖合に作られたこの「ポートアイランド」です。街開きのイベントとして「ポートピア博覧会」が開催され、近年ではさらにその沖合に「神戸空港」も建設されるに至っているのですが、その「ポートアイランド」の東隣に造成されたのが「六甲アイランド」で、「六甲ライナー」はその主要アクセスとして平成2(1990)年に開業したという経緯があります。

ところで、それらの建設当時には「山、海へ行く」というスローガンが多用されていたそうです。
同じ「神戸」でも、現在の北区・西区といったあたりは山岳地帯が多く、それらの開発の際に発生した土砂を、これら人工島の造成に用いていたことに由来するとのこと。

今回の目的地である「六甲アイランド」への主要アクセスとなっている「六甲ライナー」は島外・島内ともに3駅ずつ、合計6駅を有しています。今回の目的地は、島の南端にある「マリンパーク駅」(同)です。

この駅は始発駅なので、時刻表の列車は「六甲アイランド」島内へ向かうものです。
平日朝ラッシュ時のそれを見ますと、2~3分おきに列車が発車するという、かなりの高頻度での運転がなされています。

機内上空からの「六甲アイランド」。同じく、今年6月撮影。
島内には高層マンション群が林立するなど、「大阪・神戸へのベッドタウン」としての位置づけが大きいのですが、食品工場や倉庫群、外資系企業や高校・大学なども多数存在しており、島内への通勤・通学流動も同様に大きいことも特筆される点です。

さて、ホームに上がって来ました。休日ということでしょうか、閑散としています。
こういった「新交通システム」ならではというか、ガラス張りのホームドアが設置されているという、一般鉄道にはない光景です。

すでに、列車が入線していました。
乗務員が居ない全自動運転ということで、本来であれば運転台である場所にも座席が設けられていたので、そちらへ座ってみることにしました。なかなかいい景色です。ただ、進行方向とは反対の最後尾ですが…

車止めの先には、JR神戸線の線路が見えます。線路が小さく見えるので、こちらが結構高いレベルの高架であることが伺えます。

ほどなく発車しました。では、ここからは「前面展望」ならぬ「後方展望」でお送りしたいと思います('ω')ノ

住吉駅を出ると、そのJR神戸線に沿い、東の大阪方面へと進みます。
左に見えるのは「東灘区役所」と、このあたりのかつての郡名、「莵原」に由来するという「うはらホール」(区民ホール)。

このまま進むかと思いきや、直角で大きく右へカーブし進行方向を南へと変えます。

地図で確認するとよくわかるのですが、この「急カーブ」はJR駅の直上へ乗り入れるがための構造のようです。この手の「新交通」にはよく見かけるものです。

「住吉川」に沿って南下。高層マンションに目が行きますが、目前に迫って来る六甲の山々を見るにつけ、「神戸らしい光景」という印象を受けます。

次の「魚崎駅(うおざきえき、同)」を通り過ぎます。
阪神電車との乗り換え駅ですが、大阪・神戸方面ともに先ほどの住吉駅で接続するJR神戸線と競合しています。ただ、大阪市内南部、つまり「難波」方面などの場合ではJRにはない直通列車が設定されていることもあり、そちらでは優位に立っているようです。

その次は「南魚崎駅(みなみうおざきえき、同)」に到着。
住吉川沿いに広がっていた住宅街はここで途切れ、いよいよ「港湾部」という風景が広がって来ました。
次回に続きます。
今日はこんなところです。