「留萌本線(るもいほんせん)」に乗車、終点の「増毛駅(ましけえき、留萌管内増毛町)」にやって来ました。

折り返しまで10分ほどなのですが、時間の許す限り駅周辺を散策してみたいと思います。

線路終端部はこのような感じ。
とはいえこの構図、線路内に入ったわけではなく、車止めのすぐ後ろが広場になっていまして、そのロープで仕切られた外側からの写真です。簡素な印象を受けます。

そんなホーム周りとは異なり、駅舎は風格のあるものでした。
無人駅だったのですが、内部ではおみやげなどが販売されているようです(訪問時には閉店)。
上家の飾り窓がおしゃれですね。

そこから振り返ってみますと、これはいい雰囲気ですね。
まるで映画のセットのようですが、この増毛町にはこれ以外にも、昭和初期の面影を残す建物が多数、保存され「北海道遺産」として活用されているとのこと。
右側の「風待食堂」という店名、荒々しい日本海沿いのこの周辺ならではというナイスなネーミング?のように思えます。
ちなみに、「増毛」の名称の由来は、アイヌ語「マシュ・ケ」(かもめ・所)だそうです。
港町ならではの情景が伺えます。

ところで、この「増毛」を図示しますと、上の「青い☆」あたりです。
中央下付近に「札幌」が位置しているのですが、その距離、直線でおよそ100kmほどでしょうか。広大な北海道ということを割り引いても、比較的近い距離であることがわかります。

第3日目、車窓から見た「敏音知(ピンネシリ)山」。
ですが、その道すがらにはこの山や、域内が国定公園に指定され、初夏でも残雪があるという「暑寒別岳(しょかんべつだけ)」などといった、標高が千メートルを超える山々が連なっていまして、かつては船運でしかたどりつけない場所もあったという、実に狭隘なところが続いています。
かつては、ここ「増毛」から「石狩港」、そして「札幌方面」への鉄道建設の計画もあったそうですが、それもかなわず、利用客数の減少、また路盤状況の悪化などを理由に、ここまで乗車して来た「留萌本線」の日本海沿いの区間、すなわち「留萌~増毛間」の今冬、12月4日での廃止が決定しました。

再び駅構内に目をやりますと、一線だけの線路の横には広い敷地。
かつては貨物用の側線が複数設けられ、多くの駅員の配置がなされていたとのことですが、現在では想像もつきません。


しかし、駅周辺には結構民家が立ち並んでいるのですが実に静かです。


ホーム先端へやって来ました。こちらから奥は山が迫っています。
車内に戻ることにしました。

ところで、この「キハ54形ディーゼルカー」なのですが、座席は快適な「転換式クロスシート」と呼ばれる、進行方向へ向きを自由に替えることの出来るものでした。

通路側の座席には収納式のテーブルが設けられているなど、なかなか充実した設備なのですが…実はこの座席、廃車になった「0系新幹線」の座席を転用したものです。東海道新幹線の開業直後あたりに製造されたタイプのものだそうですが、現在でも十分な設備のように思えます。
ちなみに、テーブルの上のつまみを引き出すと「灰皿」が出てくる仕組みでした(動かしてみましたが、固定されて不動でした)。

さて、早くも発車時刻がやって来ました。数人の乗客を乗せ、深川へと戻ります。

おそらくは、「最初で最後の訪問」になるであろう、増毛までの訪問でした。
細く続く鉄路を、元来た道をとって返します。
次回に続きます。
今日はこんなところです。