「介護保険制度」にもの申す!その2 | 「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」ありのまま生きてこう 自分を磨きながら

「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」ありのまま生きてこう 自分を磨きながら

「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」公開中!趣味の鉄道の話題を中心に、旅行記や生まれ育った東大阪、敬愛するロックシンガーソングライター・松阪晶子さんについてなど綴りたいと思います。

みなさんこんにちは。
今日は、先日に続いてちょっと真面目に、「介護保険」の話をさせてください。

イメージ 1

「朝日大阪版」3月3日付けより。

先日、「介護保険制度」について、わたしの思うところを記事にアップしましたが、今回はその「続編」ということで、「介護報酬」と「国の目指す介護福祉政策」について取り上げたいと思います。

前回の記事です。
当ブログ↓
「介護保険制度」にもの申す!その1(2015年3月12日アップ)

まず、「介護報酬」からです。
「介護報酬」とは、「利用する介護保険サービスの料金」を指し、さまざまある「介護保険サービス」によって「単価」が異なります。
「利用者」が「1割」を負担し、「それ以外」の「9割」は「国・地方自治体など」から「サービスを提供した介護福祉事業者」に支払われます
(この様態を「法定代理受領(ほうていだいりじゅりょう)」と言います。

「介護保険サービス」にはさまざまありますが、大別すると「居宅系(在宅系)」と「施設系」の二つがあり、この「二つのサービス」を同時に使用することは出来ません
(これについては、後述します)。

ちなみに、「居宅系(在宅系)サービス」は、身近なものを挙げますと「訪問介護(ホームヘルプサービス)」「訪問入浴」「訪問リハビリ」「通所介護(デイサービス)」「短期入所生活介護(ショートステイ)」「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」など(厳密に分別すると、「居宅系(在宅系)サービス」の「種類」は「もっと細かい」ですが)。
「施設系サービス」は、「特別養護老人ホーム(特養)」「介護老人保健施設(老健)」などです。

これらの「二つのサービス」を「同時に利用することが出来ない理由」と言うのは、「施設系サービス」では「居宅系(在宅系)サービス」で提供される内容が「一連のサービスとして組み込まれているため」です。
(例えば、「居宅系(在宅系)」での「訪問入浴」「訪問介護(食事の調理、片付け、部屋の掃除、買い物や通院への同行など)」「リハビリテーション」と言った、「個別に換算されるサービス」は、「施設系サービス」では「これらの支援は、『施設サービス』として『一括して提供するもの』」とされているためです)。

あまり例を聞いたことはないですが、「施設系サービス」を利用している人が「居宅系(在宅系)サービスを利用したい」という場合は、「介護保険適応外」となり、「利用料金」は「全額自己負担」となります。逆の場合も、「原則」然りです。

その「介護報酬」ですが、原則「2年に1度見直し」が行われることがなっており、直近では「来年度」から「新しい介護報酬」が適用されることになっています。

簡単に内容を見てみますと、「居宅系(在宅系)サービス」の「介護報酬」は「手厚くアップ(特に「認知症を患う利用者への対応」のサービスなど)」、「施設系サービス」の「介護報酬」は「概ねダウン」になるようです。

つまりは、「居宅(在宅)での介護福祉サービス利用の促進=施設入所の方向を見直し、居宅(在宅)での介護」を重視しているフシが見受けられます。

ところで、「高齢者の介護」においては、これは日々の仕事に従事する中でいつも感じることですが、いくら健康な方が対象であっても、いずれはやはり「人生の最期」、いわゆる「看取り(みとり、『終末期ケア』『ターミナルケア』などとも称されますが)」ということが「キーワード」にならざるを得ません。

「俗っぽい表現」になりますが、国としては「慣れない施設に入所するよりは、長年住み慣れた自宅で、家族に見守られながら、安心して生涯を終えることが出来るようにする」という「介護福祉政策」の「方向転換の表れ」と捉えられます。

そういった考え方は、それはそれで「大変すばらしいものであることには間違いない」と思うのですが、実際のところ、そうなると「介護の必要性が高い高齢者(介護度の重い高齢者)を『24時間365日』自宅で世話をする」ということになり、殊に「家族などの介護者」にとっては「想像以上の過酷な、身体的・精神的な負担」になるのは間違いないことだと思います。

繰り返しになりますが、来年度からの「介護報酬改定」、先ほども述べましたが「居宅系(在宅系)サービス」の「介護報酬を手厚く」し、「施設系サービス」の「介護報酬をダウンさせる」ということは、「施設入所から居宅(在宅)での生活」への「シフトチェンジ」であるのが「明確」なのだと思われます。

ただし、先述しましたがその様な方向性が進行すると、「居宅(在宅)で介護度の重い高齢者を看て行く」という「介護者が受けるであろう過酷な負担」の「受け皿」となる「居宅系(在宅系)サービス」、特に「24時間対応サービス」の「さらなる充実」が不可欠になって来るのでしょうが、現段階では「充実しているのか」と言われれば「必ずしもそうではない」と言わざるを得ません。

また、そうなると必然的に「利用しなければいけない介護保険サービス」の「種類」や「頻度」も増大し、「利用料金」も莫大なものになることが想定されます。
また、今回の「介護報酬見直し」で「介護報酬」が減額になる「施設系サービス」においては、「さまざまな理由で、自宅での生活が困難になり、施設入所を希望している」という高齢者は、「特別養護老人ホーム(特養)」などの「入所待機者数」がどの施設でも大概「数百名単位」になっていることを考えると、このような「施設系サービス」も「必要不可欠な存在」であることは明白であると思います。

例えば、「ある高齢者」の「身体の状況」が「一人で問題なく移動出来る」「認知症(次回以降で取り上げたい内容だと思っていますが)も軽度で、ものごとへの理解も比較的しっかりしている」というようなこと「だけ」に焦点を当てれば「このまま自宅で生活をすることが出来るのではないのか?」と思いがちです。

ただ、「社会福祉支援」において、特に重要視されるのは、そういった「高齢者の生活状況の一部分だけを切り取って見る」のではなく、「既往歴・現病歴の有無と現況」「金銭管理の状況」「介護者の有無と『介護能力』の参酌(いわゆる『老老介護』状態に陥って、共倒れされないか、など)」「独り暮らしの場合、食事は毎日三食、きちんと摂れているのか、また、身体に異状を来たす、あるいは家の中で転倒などの事故が発生した、火の不始末などはないか…などの『喫緊の事態』が起こった時には誰かがすぐ対応出来るのか」…など、このようなケースのように「身体の状況」だけが「問題なくクリア」されていたとしても、その周りにある「総合的な状況」を十分参酌し、さまざまな事情を勘案した後に「自宅での生活が困難だ」という結論になり、「自分は不本意だが、施設入所を選択せざるを得ない」と言う方も居られる訳で(実際、このようなケースは、わたし自身携わって来た中で多々あります)、そうなると「24時間体制で職員が対応出来る」と言う「施設系サービス」というものは、繰り返しになりますが「必ず需要があるもの」でありましょうし、今回の「見直し」ではそういったことへの「参酌」があまり考えられていないのかな…と感じました。

ですので、「施設系サービスはこれからの時代に逆行している→これからは自宅で生活する時代になる」と、それが「さもありなん」と言いたげな「今回の介護報酬制度改定」と「国の介護福祉施策」、この点においてはわたしの立場から考えると、ちょっと「違和感」を感じます
(ちなみに、わたしは現在「施設系サービス」に従事しています。
また、以前には「居宅系(在宅系)サービス」でも従事したことがあります)。

実際、それに携わるわたしとしても「現場からの視点」をより一層大切にし、様子を見て行き、機会を設けてみなさんにもご報告が出来ればと思います。

長文、乱文におつきあいくださりありがとうございました。
次回に続きます。今日はこんなところです。