ちょっと遅くなったけど、今年のアディダスカップU-15は鹿島アントラーズが清水エスパルスを2-1で破って初優勝を飾った。準優勝の清水は29回の大会中、5回優勝している。
全国大会に出場した48チーム中、東京からは5チーム出ていたが、ベスト8のFC東京深川が最高、ベスト16にはForza'02、FC多摩が残った。全国のベスト16に東京のチームが3つ残ったのは過去にあっただろうか。調べてないからわからないけど、全国大会にはJ下部のジュニアユースがぞろぞろ出てくる。その中でこれはなかなかいい結果だったと思う。
今年の東京勢は、U-18でも全国の決勝が東京対決(三菱養和巣鴨×FC東京)だったし、U-12でも横河武蔵野が全日本少年サッカーでベスト4になったし、頑張った年だったんじゃないだろうか(昔はあまり知らないけど)。
アディダスカップの公式ウェブサイトには、全試合についてスタッツ(統計)が載っている。両チームが打ったシュートの数や、ファールの数、コーナーキックの数などだ。「公式記録」というリンクには、選手ひとりひとりについてもシュート数や交代時間などが載っている。こういう記録は、ジュニアでは全日本少年サッカーの全国大会のサイトで見たことがあるし、ジュニアユースの大会では東京国際ユースでも見たことがある。試合が終わるとわりとすぐにサイトにアップロードされる。けっこう細かく記録を取っているんだなと感心した。過去の大会の記録も残っている。
記録の話で思い出したが、前回、「ハラ(腹・肚)をくくる」という誤用がいつごろから広まったか調べたという話を書いた。調べるのに使ったのは「国会議事録全文検索」というサービスだった。これには、戦後の国会の本会議や委員会での発言がすべてデジタル化されていて、全文検索ができる。
新しい言葉や言い回し、誤用などがいつごろから現れたかを調べるのには、こういう全文検索サービスが便利だ。国会議事録だけじゃなく、大宅文庫のような雑誌のアーカイブもデジタル化されていれば便利そうだが、大宅文庫で検索できるのはまだ記事の見出しだけらしい。新聞社でも大手は記事内容の全文検索サービスを提供しているが、あまり古いのはデジタル化していない。
海外では、Googleが図書館の本を片っ端からスキャンして保存し、全文検索できるようにする『Googleブックス図書館プロジェクト』というのを進めているようだけど、日本では聞かない。
どうもデータを集めて記録を残すことにかけては欧米人の方が熱心のような印象がある。それも、何かに役立つからというのではなく、とにかくとりあえず集めて残す。
以前このブログで『サッカー・ママ』という記事を書いた時、Wikipediaの記述を参考にしたのだけど、そこには、サッカー・ママという言葉が現れたのは1973年10月17日発行の『スプリングフィールド・プレス』誌に載った記事の中だったといったことが書かれていた。こういうのは雑誌や新聞などの記事の全文が網羅的にデジタル化されていないと調べられないんじゃなかろうか。
また、ある自然科学系のドキュメンタリー番組で、過去の海洋の生態系の変化を調べるため、ケンブリッジ大学の学生食堂の記録を調べるという場面を見たことがある。仕入れた食材や学食のメニューの記録が過去何世紀分も残っていて、それを見ると昔の方が魚が大きかったとか種類が豊富だったとか、そういうことがわかるらしい。
番組の中身自体はあまり覚えていなけど、学食の仕入れの記録が何世紀分も残っているということが強く印象に残った。だいたい、そんな記録を残したところで、何になるのか。まさか何百年後かの科学者が海洋の生態系を調べるのに役に立つからと思ったわけはない。日本だったらせいぜい数年とっておいたら破棄するだろう。
それから、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の中に(何番目だったか忘れたけど)、主人公マーティの仇敵ビフが、未来のスポーツ・アルマナックを手に入れて金持ちになるという場面が出てくる。アルマナックというのはスポーツの記録を集めた年鑑みたいなものだ。日本ではアルマナックを手もとに置いておくのはそんなに一般的でもないだろうし、持っている人なんてあまりいないだろう。こういうアルマナックにしても『Googleブックス図書館プロジェクト』にしても、ビジネスということもあるだろうけど、そもそも「記録を集めて残しておきたい」という欲求があるんじゃないだろうか。
日本でも、正岡子規は『仰臥漫録』という本の中で、自分が食べたものを事細かに記録している。病床にあって暇だったということもあるかもしれないが、記録好きなんだろう。自分の昔の会社の先輩も、毎日どこに行ったとか誰と食事したとか、そういったことを記録していて、10年も20年も前にどこで誰と飲み会をしたか記録が残っているそうで、たまに飲みに行ったりすると前回は何年の何月何日にどこの店に行ったなんてことを言われる。
最近は飲食店で携帯電話やスマートフォンで食べる前の料理の写真を撮っている人をよく見かける。SNSなどで誰かに見せるためという人が多いのだろうが、中にはなんとなく毎日食べたものを記録したいという欲求もあるのかもしれない。
アディダスカップの公式記録は第25回(2009年)以降の分しかウェブ上には載っていない。今のプロ選手の中学時代のデータはなさそうだ。今回のスタッツはずっと残るのだろうか。