9月の読書メーター | 無精庵徒然草

無精庵徒然草

無聊をかこつ生活に憧れてるので、タイトルが無聊庵にしたい…けど、当面は従前通り「無精庵徒然草」とします。なんでも日記サイトです。08年、富山に帰郷。富山情報が増える…はず。

9月の読書メーター
読んだ本の数:13
読んだページ数:5066
ナイス数:3208
吾輩としては読んだほうかな。仕事。庭仕事。町内会の雑用。バイクでのミニツーリングなどなど。

 

重力ピエロ (新潮文庫)重力ピエロ (新潮文庫)感想
この小説では、家族に……母に悲しい過去がある。レイプ魔に犯され、身ごもり、産む決断をする。それが弟の春である。なんとも皮肉な名前。兄は泉水(いずみ、つまりスプリング)。弟は春(スプリング)。つまりスプリング兄弟。飄々と生きてきたようで、父もだが、(小説の中では語られないが)気丈な母も内心は苦しんできたはず。母が早死にしたのは、悲しい過去に関係はないのか。小説の設定だといえ、こういうレイプ魔の子という十字架は、とてつもなく重いもの。父母は兄同様愛したとはいえ。
読了日:09月30日 著者:伊坂 幸太郎


心はどこにあるのか (ちくま学芸文庫)心はどこにあるのか (ちくま学芸文庫)感想
デネットにしては愚直な省察が展開されている。哲学者デネットへの、あるいは哲学とはいかなるものかを体験する上での入門書にふさわしい。  ロボットは心を持つか。ぬいぐるみに心がないのは明らか。でも、ぬいぐるみへの愛着は、まさに我が子かペットを愛玩するようでもある。ロボットに限らず、動物に心があるかを問う際には、注意すべき点がある。
読了日:09月27日 著者:ダニエル・C. デネット


王家の遺伝子 DNAが解き明かした世界史の謎 (ブルーバックス)王家の遺伝子 DNAが解き明かした世界史の謎 (ブルーバックス)感想
この手の本は大好物。そのつもりもないのに、一気に読み切ってしまった。メカニズムの説明に頭を使う場面もあったが、シェイクスピアやツタンカーメン、アメリカのジェファーソン大統領らの話題とあれば、頁を捲る手も焦れるというもの。
読了日:09月25日 著者:石浦 章一


20世紀ラテンアメリカ短篇選 (岩波文庫)20世紀ラテンアメリカ短篇選 (岩波文庫)感想
南米文学は、それなりに読んできたが、大半は長編。長編の読み応えは断固ある。でも、本書に限らず短編も注目すべきと知った。中でも、マリオ・ベネデッティ作の「醜い二人の夜」には参った。気持ちが分かるだけに痛いほどに感じた。愛には勇気が必要だ。他にも傑作が幾つも。表紙のの絵は、リベラの「アラメダ公園での日曜の午後の夢」だとか。
読了日:09月23日 著者:


ヴィクトリアン・レディーのための秘密のガイドヴィクトリアン・レディーのための秘密のガイド感想
『ダウントン・アビー』や『嵐が丘』、『風と共に去りぬ』などの背景を知る。我輩はあくまで好奇心で。映画「風と共に去りぬ」の一場面でもありましたが、黒人の侍女の手伝いでコルセットを装着する苦労! あれじゃ食事も喉を通らない。紳士の前では、慎ましやかな食事にならざるを得ない。出産は、命懸け。麻酔もないし、そもそも手術なのに滅菌、清潔にするという発想がない。が、結婚すると、子供を何人も作る圧力がかかる。夜の娯楽は他にないし。
読了日:09月23日 著者:テレサ・オニール


生物の中の悪魔 「情報」で生命の謎を解く生物の中の悪魔 「情報」で生命の謎を解く感想
既に、「ガンの始まりは、多細胞し始めた時から。多細胞化するメリットはあったからだが、同時に単細胞の細胞にはストレスも。本来は細胞は、どんどん分裂し増殖したい。が、多細胞体を構成する以上は、その能力が封印されるか、制約される。つまり、細胞たちは、常に隙あらば勝手に増殖しちゃうのだ。進化の淵源を辿ることから、ガンの治療法を探る研究も」とか、「進化の樹で、かなりの分枝でガンが発生している。その一方で多細胞体なのに発生していない分枝も」などと書いた。
読了日:09月18日 著者:ポール・デイヴィス


キルプの軍団 (岩波文庫)キルプの軍団 (岩波文庫)
読了日:09月17日 著者:大江 健三郎

 


プラットフォーム (河出文庫)プラットフォーム (河出文庫)感想
読んでいる途中、以下のように書いた:  とても楽しんで読めている。シニカルだが、ほどよくリリックであり、現代社会の一部を踏まえている感じがある。主人公(語り手)を旅行業界に身を置く人物たちに関わらせることで、主に中産階級以上の連中のリゾートツアーに求める内容の変化を探ることで、西欧(と相関するリゾート地や国々)の変化を炙り出している。驚きなのは、以外でもあるが、シニカルな自分を持て余している彼(語り手)が自分ならこういうものをこそ観光業に求めるという話が物語を大きく展開させること。
読了日:09月16日 著者:ミシェル ウエルベック


透明な沈黙透明な沈黙感想
日記や特に、「反哲学的断章」を読み返したくなった。「断章」は、素晴らしい。
読了日:09月13日 著者:


新版 平家物語(二) 全訳注 (講談社学術文庫)新版 平家物語(二) 全訳注 (講談社学術文庫)感想
琵琶法師が語り聞かせる話で、一般にも分かるし、親しめるように書いてあることが本文で察せられる。今の我々には難解でも、当時の人々には聞きなれた言葉を敢えて使って、語調を整える。且つ、耳馴染みのエピソードを時間的な齟齬も気にせず、ドンドン採り入れ一層、楽しめるように工夫されている。吾輩のような素養のないものでも、本文を読んでいるだけで分かったような気になるから不思議である。感想など野暮だろう。楽しめばいいのだ。
読了日:09月12日 著者:


カント「視霊者の夢」 (講談社学術文庫)カント「視霊者の夢」 (講談社学術文庫)感想
霊的存在は、肉の身の我々には見えないし触れることはもちろん不可能。だが、同時に、霊的存在だって、我々を観ることも触れることもできないはず、という着想は自分には新鮮な驚きだった。まあ、霊感の強い人は霊を感じるのだろうし(敢えて否定も肯定もしない)、だとしたら、肉感の強い霊的存在は肉の身の我々を見、感じ、交流しようとするのだろうか。
読了日:09月11日 著者:イマヌエル・カント


聊斎志異〈下〉 (岩波文庫)聊斎志異〈下〉 (岩波文庫)感想
聊斎とは、著者の号及び書斎の名。「聊斎志異」とは、聊斎が怪異を記すの意。日本で云えば、「今昔物語集」の本朝(日本)編に相当するか。というのも、浅学の吾輩、ふと、芥川らに影響を与えた「今昔物語」を連想せざるを得なかったのだ。というか、過日、福永武彦訳の「今昔物語」を読んだばかりで印象が強いせいもあるかもしれない。  というよりも、その印象があるから「聊斎志異」を手にしたのかもしれない。
読了日:09月09日 著者:蒲 松齢


ささやかな知のロウソク―ドーキンス自伝2―:科学に捧げた半生ささやかな知のロウソク―ドーキンス自伝2―:科学に捧げた半生感想
自伝の続巻に当たるが、いわゆる自伝風じゃなく、彼のこれまでの著作や思想の歩みを、その形成過程を自ら解き明かすといった本。訳者も描いているが、世界のとびきりの一流の科学者の交流の華麗さが眩いほど。吾輩としては、哲学者として一番畏敬の念を抱いている、ダニエル・デネットをその交流の輪の中心に置いていることに一層の信頼感を抱かせる。
読了日:09月08日 著者:リチャード・ ドーキンス

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