クライアントの男の方の話です。
1級建築士の彼は何故か建築中のビルの上から落ちて 倒れている所を発見され病院に救急搬送された。
幸いにも…? 一命を取り留め 高度の脳障害と手足の麻痺が残った。
思うように言葉も出ず 呂律も回らず しかし 彼は必死にリハビリをして歩いて生活が出来るまでに回復し退院した。

そんな中 私の前に 彼は現れた。
目の前に座っている彼に違和感を覚えたので 私は彼に話しかけた。

初対面ではあったが 彼は私の顔を見ると どもりながら でも必死に丁寧に話してくれた。
自分は大学も出て大きな会社で一生懸命仕事をしてきた。 でも今は 上手に話す事も出来ない。

そして… 妻に死んでくれと言われました。 必死に涙を堪えながら ゆっくりと話してくれた。

暫く彼と見つめ合っているうちに 私の口から 「きっと奥さんもあなたと同じくらい動揺されていたのかも知れませんね。」という言葉がでた。

少しして 彼の目が見開き ゆっくりと笑顔になってくれた。

私には何が正解かはわからないが 私たちは自分自身と目の前の方の可能性を信じる事が必要だと 私の師匠 和製エリクソンから教えてもらった。

今は話し方もだいぶ流暢になり 仕事に復帰している。 そして彼は常に奥さんが生活に困ることだけはしたくないんだと話すようになっていた。。
彼は混乱するとよく電話をして下さっていたが最近では混乱した電話は全くない。

誰かの言葉が心に刺さって どうしても取れない時 その言葉はこだまのように心の中で繰り返されてしまう。 自分だけで取ろうとせずに誰かに取れないんだって話してみる事もありかもしれない。