わすれんぼう私が、傘をしょっちゅうどこかに置き忘れて無くしてしまうのは、傘を大事に思っていないからじゃない。魂が現実を置き去りにして、どこか遠くの海に潜ってしまうからなのだ。この世の中は、どこもかしこも眩し過ぎるから、時々深海の水圧で、己の輪郭を確かめなければ、生きてゆけないのだ。