ブルックナーの交響曲第0番を聴きます。

まぁ、ブルックナーならではの0番標記の交響曲です。通常の交響曲第1番より、後に作曲されたようです。
更に詳しくお知りになりたい方は、ネットや書籍で確認して下さい。

今日聴いたのは、エリアフ・インバル指揮するフランクフルト放送交響楽団が録音した全集からの演奏でこの0番は、1990年に録音されたものです。

第1楽章、まだ弦楽器のトレモロで始まる「ブルックナー開始」ではなく、ブルックナーにしては普通の感じで始まりますが既にブルックナーらしい展開を繰り広げる交響曲となっており、「テ・デウム」を思わせる音楽が流れます。
インバルのゆっくりめのテンポでブルックナーの若々しい魅力ある音楽を丹念に拾い上げる指揮をしています。

第2楽章は、得意の魅力あるアダージョではなくアンダンテで書かれた緩徐楽章となってます。
女性的なチャーミングで敬虔な乙女が神に祈りを捧げるような音楽で、安息の日々を過ごしているような気分にさせてくれる楽章です。
この楽章においても、インバルはゆったりめのテンポで1音1音大切に紡いで行くような指揮で、ブルックナーの緩徐楽章の素晴らしさを伝えてくれてます。

第3楽章は、スケルツォの楽章です。既にスケルツォにおけるブルックナー形式とも言えるものとなっており、後に現れる見事で素晴らしいスケルツォ楽章を予感させる充実したものとなってます。
インバルの指揮も、安定した金管を響かせ快速で持ってグイグイ引っ張って盛り上げて行きます。

第4楽章、序奏があって様々にブルックナーの書いたメロディーが時にチャーミングに、時に荒々しくそして、華々しく展開されブルックナーの音楽を満喫出来ます。
インバルの指揮により、それらの展開してく様が丁寧に見えてきます。いや、聴こえて来ます。

フランクフルト放送交響楽団も、インバルの指揮に完璧に反応し、インバルの思い描くブルックナー像を具現化すべく最善の演奏をしています。 



0番交響曲においては、さして目立った名演はありません。

故に、インバルとフランクフルト放送交響楽団は、この0番交響曲の素晴らしさを伝える道標となるような名演と言えます。