R.ワーグナーの楽劇『パルジファル』を聴きます。 

彼の最後の楽劇です。我々日本人にとって理解しにくい面もありますが、アーサー王と聖杯伝説にまつわるをワーグナーが楽劇に仕立てたくらいの理解で良いかと(笑)。とにかく、4時間半近くを要する大作です。

これだけ長い時間を繋ぐ見事で素晴らしい音楽(オーケストラ、歌手、合唱全て)を作曲したワーグナー、どんな頭脳をしているのかと思ってしまいます。それはワーグナーの作品、全てに言えますが。 

日本人には、とても真似すること出来ないでしょうなぁ。歌舞伎の「義経千本桜」や「仮名手本忠臣蔵」くらいかなぁ、ワーグナーの作品に匹敵するの。 

まぁ、スピルバーグ監督の映画「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」に出て来る聖杯伝説の件は、面白おかしくなってますが(笑)。 

『パルジファル』の詳しいことは、ネットや書籍で確認して下さい。 

今回聴いたのは、ピエール・ブーレーズが1970年にバイロイトに出演した際にライブ録音された演奏です。オーケストラと合唱は、言うまでもなくバイロイト祝祭管弦楽団と合唱団です。 
配役と歌手は、以下の通りです。 
パルジファル:ジェイムズ・キング 
グルネマンツ:フランツ・クラス 
クンドリー:ギネス・ジョーンズ  
アンフォルタス:トマス・スチュワート 
ティトゥレル:カール・リッダーブッシュ 
クリングゾール:ドナルド・マッキンタイヤ 
第1の聖杯騎士:ヘルミン・エッサー 
第2の聖杯騎士:ベングト・ルンドグレン 
第1の小姓:エリザベート・シュヴァルツェンブルク 
第2の小姓:ジークリンデ・ワーグナー 
第3の小姓:ディーター・スレンベルク 
第4の小姓:ハインツ・ツェドニック 
花の乙女:ハンネローレ・ボーデ 
花の乙女:マルガリータ・キリアーキ 
花の乙女:インゲ・ポースティアン 
花の乙女:ドロテア・ジーベルト 
花の乙女:ウェンディ・ファイン 
花の乙女:ジークリンデ・ワーグナー 

 『パルジファル』と言えば、クナパーツブッシュとカラヤンの演奏が、僕にとっては東西の両横綱です。 

スケールのデカいクナ、陶酔、耽美のカラヤン。どちらも『パルジファル』を聴く上では、外せない超名演です。 
翻ってブーレーズの演奏です。 
まさにブーレーズたる演奏をしています。
R.ワーグナーの書いた膨大な音楽を電子顕微鏡で覗くが如く観察し、精緻に繊細に学究的にそして、鮮明にして具現化しています。 

オーケストラも合唱も、そんな彼に従ってクナの演奏とは異なるコンパクトで精緻極まりない演奏をしています。

クナの演奏に心酔されている方は、物足りないでしょうね。
僕は、このような演奏もありかなぁと思います。 
 
ワーグナーのドラマとしての楽劇としてより、ワーグナーの音楽の世界を何の先入観も無しにスムーズに耳に入ってくる演奏をブーレーズはしています。 

この当時ヨーロッパの歌劇場で大活躍していた歌手が集まっているのだから、不平不満なんてありません。 

タイトル・ロールを歌うキングの伸びやかな艶のある声、清楚で瑞々しい美声のジョーンズのクンドリー。 

スチュワートを始めとする歌手たちも存在感のある素晴らしい歌唱を聴かせてくれます。 
ただとにかく長い。だらけた音楽がたまに流れるんだったらまだしも、全ての音楽が内容の詰まった素晴らしい音楽だから集中して聴くので、聴き終わると疲れますわぁ(笑)。