日曜日のお昼前に、ルービンシュタインの弾くベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴きます。 

1962年に録音された第8番『悲愴』と第14番『月光』です。
この年代の演奏だから、彼もまだまだ脂が乗り切って、ピチピチのギャルのように跳ね回る姿の、ルービンシュタインのピアノが聴けます。 

西側のピアニスト以外でホロヴィッツやリヒテル、ギレリスと並び称される偉大な風格と技巧には後光の射すようなオーラを感じます。 
それは、今のピアニストには感じられないものです。 

今回聴いた2曲のピアノ・ソナタ、彼の余裕を持ちながらもキメの細かい神経を全てのピアノのタッチとペダリング駆使し、ベートーヴェンの曲想、曲調を寸分違わず余す所なく表現しています。 

そして彼のピアノには、どことなくロマンを感じます(ベートーヴェン聴く上には、不要かな)。 
やはり、巨匠と呼ばれる証のような演奏です。 
 
やっぱり、こんな演奏は今のピアニストには出来ないだろうなぁ。 

特に、第8番『悲愴』の第2楽章の憂いを満ちたしっとり感、僕は『悲愴』と副題がついてますが、何故か心が癒されます。 

 そして、第14番『月光』の第1楽章の幻想的な雰囲気を嫌がおうでも高め、更にしっとり感を淡々とさりげなく進めて行く名人芸のような演奏に魅了されます。

勿論、残る楽章においてもルービンシュタインの名人芸は冴え渡っています。 

この2曲には、星の数程の名演が残っています。その中でも彼の演奏は、トップクラスにあるのは間違いないです。 

まぁ、この2曲のソナタを聴くのに迷ったら取り敢えずルービンシュタインの演奏を選択したら良いと思います。