ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を聴きます。

ラフマニノフのピアノ協奏曲としては、第2番がイギリス映画にも取り上げらる程有名でロマン溢れる名曲ですが、この第3番もそれに見劣りすることなく存在する立派な協奏曲です。 
何ならロマンと言うことであれば、寧ろこちらの協奏曲の方が勝っているように思います。
尚且つこちらの協奏曲の方が、スケールが壮大で壮観です。 

 この協奏曲の詳しいことは、ネットや書籍で調べて下さい。 

今日聴いた演奏は、ホロヴィッツ、リヒテルと共に旧ソ連を代表する世界に誇れるピアニスト、エミール・ギレリスとアンドレ・クリュイタンス指揮するパリ音楽院管弦楽団が、1955年に録音した演奏です。 
1955年の録音だから、ギレリスの微妙なタッチやペダリングは鮮明に聴こえませんが、1音1音大切にしてラフマニノフの書いたピアノ音楽の素晴らしさを伝えてくれてます。 
ロマンチックな点で言えば、ホロヴィッツ(伴奏が、オーマンディとニューヨーク・フィル)の方にどうしても軍配を上げてしまいますが、ギレリスの方も武骨ながらも懸命に絞り出すようにロマンチックな雰囲気を醸し出しています。 
寧ろテンポの激しい情熱的な箇所でのピアノの演奏は、真に迫る迫力あるものです。
ホロヴィッツの名演に決して敗けてない演奏です。 

まだ、若かりしギレリスのバリバリと一気呵成にピアノの鍵盤を打鍵する姿が目に浮かびます。 
まぁ、言ってみればお国物のラフマニノフの音楽だから、西側のピアニストにはないロシアの大地を思い浮かべるような演奏には違いないです(強いて対決するなら、アルゲリッチのピアノかな)。 

そして、クリュイタンス指揮するパリ音楽院管弦楽団の演奏が、また凄くて良いです。 

フランスの音楽を生業にするようなパリ音楽院管弦楽団が、フランスの粋でセンスのある演奏とはまるで反対でロシアのオーケストラかと思い違いするようなロシアナイズされた響きを出しています。 

 第2楽章の緩徐楽章の演奏は、特に見事な演奏をしています。
寒々とした音楽の中にロマンを感じ情緒溢れる雰囲気をギレリスのピアノに非常にマッチした演奏をしています。 

そのような演奏をパリ音楽院管弦楽団にさせるクリュイタンスの指揮には、感服します。 

ラベル、フォーレを始めとするフランス物の他に、ベートーヴェン、ワーグナー等のドイツ・オーストリア系の名演を産み出す指揮、手腕は、見事な物です。 

このラフマニノフの伴奏も、完全にロシアの雰囲気をパリ音楽院管弦楽団に染み込ませ素晴らしい伴奏を付け、ギレリスのピアノを際立たせています。ギレリスのピアノが光っています。 

あまり出回っていないCDかもしれませんが、見かけたら購入してみては如何でしょうか。

ギレリスのロシアナイズされた見事な演奏に魅了されます。