ブルックナーの交響曲第6番を聴きます。

ブルックナーの中期の交響曲で、巨人のように君臨するブルックナーを代表する第5番と第7番に挟まれた割りと地味な交響曲ですが、中々どうして立派なブルックナーらしい壮大な交響曲です。とは言うもの、第5番や第7番に比べると演奏や録音される機会の少ない交響曲です。
もっともっと聴いて欲しいそれです。

 細かなことは、ネットや書籍で確認して下さい。 

 第1楽章は例の弦のトレモロ、所謂「ブルックナー開始」で始まりませんが、小刻みに弦が踊りを舞うような演奏で開始され以降の展開は、まさにブルックナー。
オーケストラ全体を使って、ブルックナー中期の意気込みを感じ内容の濃い音楽が聴けます。

 第2楽章はブルックナーの厳かで流れるような美しい如何にもブルックナーらしい落ち着きのある音楽が、聴けます。
聴いていて、うっとりします。流石、ブルックナーです。この楽章の終盤のオーケストラのやり取りの美しいこと。既に後期の交響曲の緩徐楽章の魅力を垣間見るようです。 

第3楽章、この楽章はブルックナー得意のスケルツォ楽章です。
上から聴いても、下から聴いても、斜めから聴いても正真正銘のブルックナーの音楽です。
軽快で明るいながらも、どことなく皮肉っぽさを感じる楽章となっています。トリオでの金管楽器と弦楽器とのやり取りは、微笑ましいの一言です。 

 第4楽章は、フィナーレです。千変万化する目まぐるしい展開をする楽章です。ブルックナーの後期の交響曲に見られる壮大な伽藍のようなフィナーレでなく軽く聴き流せるものです。だからと言って、内容が薄い音楽ではありません。ブルックナーが、考え抜いた音楽には変わりありません。
まぁ、多少は軽めの音楽ですが(笑)。でも、立派なブルックナーの音楽です。 

今回聴いたのは、クリスチャン・マンデアルがクルジュ=ナポカ・フィルを指揮した1988年に録音された演奏です。 

 演奏は、欧米のメジャーな指揮者、オーケストラからするともっさりとした片田舎のオーケストラだと誰もが思う演奏です。 
どう聴いてもオーケストラの機能、技術的、合奏能力的にも聴き劣りのする演奏です。
しかし、その指揮者とオーケストラが一丸となっての演奏が魅力的でブルックナーへのひた向きさ、ブルックナーへの親しみ、演奏する喜びを感じることが出来ます。
本当に棄てがたい演奏です。 
ある意味、ブルックナーの素朴さ、簡単明瞭さをストレートに語り掛けて来る欧米のメジャーの指揮者、オーケストラに無いブルックナーの音楽の凄さ、魅力、醍醐味を違った角度から知らしめてくれる演奏です。 

廉価盤としてブルックナーの交響曲全集が購入出来ますので、是非とも街のショップで購入されることをお薦めします。 

メジャーの指揮者、オーケストラの演奏とは一味違ったブルックナーの音楽が楽しめます。