モーツァルトのピアノ・ソナタ第14番と第15番を聴きます。

今日聴いたピアニストは、アリシア・デ・ラローチャが70年代の後半に録音した演奏です。


モーツァルト円熟期の繊細で叙情的な2曲のソナタで、粒のそろった美しいタッチが際立つように書かれたピアノ・ソナタで極めて美しく丁寧に書いたピアノ・ソナタです。
第14番は、モーツァルトのピアノソナタの中で最も激しく劇的な展開を見せており、後のベートーヴェンのとピアノ・ソナタの初期の作品に強い影響を与えたと言われる。短調で書かれた数少ないピアノ・ソナタですがベートーヴェン程、激しいものではありません。

第15番は、モーツァルトが自作の作品目録に17「初心者のための小さなソナタ」と記してて、ソナタアルバムやソナチネアルバムにも収められていることから、ピアノ学習者にはお馴染みのピアノ・ソナタです。

これ以上の2曲のピアノ・ソナタの詳しいことは、ネットや書籍で確認して下さい。 

彼女と言えば、まず何よりも産まれた国スペイン産の作品、取り分けグラナドスやアルベニスのスペシャリストとして有名ですが、同時にモーツァルト(確か、ピアノ・ソナタ全集も録音してた筈)においても優れた演奏をしています。

今回聴いた演奏、デ・ラローチャの母の懐に抱かれるような、心暖かくなるモーツァルトの演奏です。
地味で派手さはありませんがモーツァルトのピアノ・ソナタの魅力の神髄に迫ったピアノで、モーツァルトの書いた軽やかで澄んだ瑞々しいメロディーを丹念に紡ぎだしている好感が持てる演奏です。
モーツァルトのピアノ・ソナタにおいては、リリー・クラウス、イングリット・へブラーやマリア・ジョアン・ピリスがつとに有名ですが、彼女たちに割って入るようなモーツァルトの名演が聴けます。

特に、第14番の第2楽章と第15番の第2楽章の緩徐楽章での演奏は、まさに母の懐に抱かれるような、心暖かくなるような気持ちにしてくれ癒され、心落ち着く演奏には、感服します。

先に書いたピアニストに隠れがちなデ・ラローチャのモーツァルトですが、絶対に忘れてはならない演奏が聴けます。是非ともデ・ラローチャのモーツァルトを聴いて下さい。