4月に入って最初の投稿は、ブラームスのドイツ・レクイエムを聴いたので、このことについて投稿します。
このレクイエムは、ブラームスが作曲したオーケストラと合唱、およびソプラノ・バリトンの独唱による宗教曲。1868年に完成し、翌年1869年初演され,全7曲で構成されています。歌詞は、彼自身が選んだ旧約聖書と新約聖書のドイツ語章句を歌詞として使用している。
歌詞に付いてる音楽は、同じレクイエムを作曲したヴェルディの劇的で情熱的な音楽と異なり、ブラームスのは同じ宗教に関する音楽でありながら全曲ロマンチックを意識な雰囲気を醸し出しています。演奏会用の作品として作曲され、キリスト教の祭事を意識した音楽ではなく、あくまで演奏会においてのみ存在する音楽です。ある意味、異質なレクイエムです。
ヴェルディやベルリオーズのレクイエムで現れる勇壮で熱を帯びる「怒りの日」は、ありません。
後の細かなことは、ネットや書籍で確認して下さい。
僕はこのレクイエムを聴く時、宗教的なことをイメージする聴き方はしていません。
ヴォルフの男女で歌われる「イタリア歌曲集」や「スペイン歌曲集」のような歌曲を聴くような聴いています。
今日聴いたのは、カラヤン指揮するベルリン・フィルが1976年に録音された演奏です。
歌手は、当時カラヤンのお気に入りで数多くの演奏、録音に使っていたソプラノのアンナ・トモワ=シントウとバス・バリトンのジョゼ・ヴァン・ダムです。合唱は、これも合唱を伴う楽曲には必ず使っていたウィーン楽友協会合唱団です。
さて演奏についてですが、カラヤンならではの、磨き抜かれた、純度と緊張感の高いブラームスとなっています。そう、交響曲の演奏でカラヤンが費やす感覚で演奏しています。
中でも全曲のクライマックスと言える第6章の演奏は差し詰め歌劇を聴いてるようで、貯めに貯めた指揮者、オーケストラ、歌手、合唱団のパワーを一気に爆発させたと言える程の豪華絢爛で壮大な演奏が聴けます。まさに、圧巻です。まさに、ブラービ!
とかく難解で、荘重さばかりが強調されがちでブラームス特有の枯淡を感じる『ドイツ・レクイエム』ですが、カラヤンはカラヤンなりの視点で分析し、万人にこの『ドイツ・レクイエム』に新たな光を当て、魅力ある音楽であることを知らしめる見事な指揮で、耽美この上無い演奏をベルリン・フィルにさせています。
そんなカラヤンのかって知ったる指揮の下で、ベルリン・フィルの高く極上の演奏技術で、まるで交響曲を演奏するが如くブラームスの音楽を最大限に具現化するものとなっています。素晴らしい!
そして、合唱がこれまた美しい。
2人の歌手に負けない完璧な仕上がりで、ブラームスの合唱に付けた音楽の魅力を伝えるに十分な合唱を聴かせてくれています。
トモワ=シントウの澄んだ清らかで爽やかな天使のような歌声にうっとりさせられます。
トモワ=シントウにブラーバ!
ヴァン・ダムの安定感があって、伸びと張りがあって美しい低音の魅力を余すこと無く歌う歌声にブラボーです。
この『ドイツ・レクイエム』にも数多くの名演が録音として残されてますが、間違い無くトップクラスに鎮座することの出来る演奏です。そして、『ドイツ・レクイエム』において忘れてはならない演奏です。