モーツァルトのバイオリン協奏曲第5番『トルコ風』を聴きます。

モーツァルトの作品と確認されている最後のヴァイオリン協奏曲で『トルコ風』の愛称で親しまれています。第3楽章の途中から現れるトルコ風の行進曲があるので、『トルコ風』と愛称と付いているのでしょう。

今日聴いたのは、ムターとカラヤン指揮するベルリン・フィルの演奏です。1978年に録音された演奏です。
ムター14歳の時のバイオリンで、処女(異人さんは、ませてると言ってもまだ男は知らないだろうなぁ)らしい伸び伸びと清々しくて若々しい持てる力を発揮して、若いムターの美しいバイオリンの音色が楽しめます。

後年2000年に入って彼女自身の弾き振りによってモーツァルトのバイオリン協奏曲全集(僕も所有していますが)を録音していますが、このバイオリンはカラヤンとの演奏とはまるで違う男を覚え成熟した大人の女の艶っぽい色気プンプンのバイオリンの音色がします。そう、豊潤なワインのような。

さて、カラヤンとの演奏ですが先程も述べたように巨匠を全く意を介さずに輝くばかりの眼をかざさないと見ていられないような若さ迸るしっかりした屈託のない素晴らしいバイオリンが聴けます。ムターのバイオリンの音色でカラヤンを魅了されたのが、頷けます。

そして、カラヤンはまるで孫娘を見つめるような暖かい眼差しを注ぎながら、包容力たっぷりの伴奏をしています。
だからと言って手をこまねいていないのがカラヤン。天下の手兵ベルリン・フィルを自在に操り、完璧な伴奏をしています。しかし、あくまでも主役はムターのバイオリン。完璧な伴奏をしていますが、控えめな脇役に徹しています。

モーツァルトのバイオリン協奏曲第5番の演奏において忘れてはならない名演です。