ベートーヴェンのバイオリン協奏曲を聴きます。
バイオリンはアルテュール・グリュミオーで、指揮とオーケストラは、アルチェオ・ガリエラとニュー・フィルハーモニア管弦楽団です。
1966年に録音された演奏です。

ベートーヴェンは、正式なバイオリン協奏曲として1曲残していますが、これがバイオリン協奏曲の金字塔のような存在でバイオリン協奏曲の「皇帝」と言って良い大傑作です。
規模もモーツァルトのバイオリン協奏曲を軽く凌駕し、バイオリンの魅力を最大限引き出し、伴奏するオーケストラもバイオリンの魅力引き出す見事な音楽を提示します。
このバイオリン協奏曲と対等真っ向勝負出来る曲が現れるには、ブラームスのバイオリン協奏曲が世に出て来るまで待つしかありません。

詳しいことは、ネットや書籍に譲ります。

今回聴いたのは、アルテュール・グリュミオーです。ベルギーのバイオリニストの名手で完璧なテクニックは勿論のこと艶やかな美しい音色と、瑞々しいまでの抒情性が抜きん出ており、同時に気高い品格を感じさせるバイオリニストです。
レパートリーが広くその全てが名演です。

このベートーヴェンでも、彼の魅力が遺憾なく発揮され3回録画された2回目のものですが、彼が40歳代を迎えて一層熟し漲る力をぶっつけた熱いベートーヴェンが聴けます。
勿論、熟し切った熱い演奏だけでなくバイオリンの美音は保たれ、ベートーヴェンのバイオリンに書いたメロディーの厳しさは少々抑え目にして甘美な調味料を加味して(特に、第1楽章のカデンツァの美しさは見事です)、ベートーヴェンの音楽をじっくり、たっぷり味わえます。

伴奏のアルチェオ・ガリエラ指揮するニュー・フィルハーモニア管弦楽団もベートーヴェンが書いたバイオリンの魅力を最大限活かすオーケストレーションを漏れなく引き出す演奏をしていてグリュミオーのバイオリンの美音をより際立たせる文句の無い見事な伴奏をしています。

ベートーヴェンのバイオリン協奏曲を語る上で忘れてはならない名演です。