歌劇の次は、ピアノの音色が恋しくなったのでピアノ曲を聴きます。
選んだピアノ曲は、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第23番『熱情』です。
プロで名を馳せたピアニストであれば誰しも演奏するピアノ・ソナタです。
ベートーヴェンの作曲家人生の中期における3つの傑作ピアノソナタの1つです。
古典派でありながら、ロマンが充満したピアノ曲です。細かなことは、ネットや書籍で確認して下さい。

今日聴いたピアニストは、旧東ドイツ出身のディーター・ツェリヒンが1968年に録音した演奏です。彼もご多分に漏れずベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集を録音していますが、僕は1枚しか持ち合わせていません(このCDには、他に『悲愴』と『月光』のソナタが録音されています)。

彼のピアノは、絵に描いたような堅実で折り目正しく示された構成感と、独特な雰囲気を持ち合わせた旧東ドイツのお国柄なのか律儀でかっちり、がっしりした(特に、第2楽章の重厚な演奏は素晴らしい)ピアノの音色が中々魅力的です。
奇を衒うようなことはせず、慌てず騒がず着実にベートーヴェンの音楽を感じさせてくれます。

聴く人によっては、面白みに欠けると言われるかも知れませんが、真っ正面からベートーヴェンの音楽に取り組み中々渋い演奏をしています。

西側のピアニストのように派手さはありませんが、燻し銀のような味わい深い枯山水のようなベートーヴェンを聴きたい方には、お薦めの演奏です。是非とも、1度聴いて下さい。