ヴェルディの歌劇『トロヴァトーレ』を聴きます。 
ヴェルディ中期の傑作で歌劇で、歌手、合唱の取扱い妙と、きら星の如く流れる情熱的で聴く者ハートを掴んで放さないメロディー満載で、ヴェルディ歌劇及びイタリア歌劇の醍醐味を伝えてくれる飽きの来ない歌劇です。

今日聴いたのは、ブルーノ・バルトレッティ指揮するベルリン国立歌劇場管弦楽団と合唱団の1975年に録音された演奏です。

歌っている歌手は、以下の通りです。
ライナ・カバイヴァンスカ(ソプラノ)
フランコ・ボニゾッリ(テノール)
ジョルジョ・ザンカナーロ(バリトン)
ヴィオリカ・コルテス(メゾ・ソプラノ)
ジャンカルロ・ルッカルディ(バス)、他

 マンリーコ役を十八番とするボニゾッリ(カラヤンの録音でも歌っています)が歌い張りがあって伸びやかな美声を聴かせ、全盛期の素晴らしさを誇示しています。特に、強靭な高音はやはり魅力的です。この当時若かった3大テノールに負けない歌唱をしています。

ルーナ伯爵のザンカナーロも持ち前の渋くて深みのある低音の美声を活かしてダンディな悪役を巧みな歌唱を聴かせてます。バスティアニーニ、カプッチッリ、ブルゾン、ヌッチの間に入る誇られるべきイタリアのヴェルディの名バリトンですが、如何せん彼らに比べると知名度が高くないのが残念です。

カラヤンの『トロヴァトーレ』や『ファルスタッフ』でも歌っているカバイヴァンスカが、レオノーラを歌って素晴らしい歌声を聴かせてくれています(それなりに美貌の持ち主で、僕の好きなソプラノの1人です)。力強い高音が、魅力的です。

アズチェーナを歌っているコルテスは、僕はこの録音でしか知りませんが、この録音の時期に絶頂期を迎えていたそうで存在感のあるアズチェーナを歌っています。アンヴィール・コーラスから引き継がれて歌われるアリア「炎は燃えて」は、見事です。
まぁ、僕の好きなアズチェーナは、カラヤンで歌っていたコッソットかオブラスツォワですが。

脇役の歌手たちも熱唱していて聴き応え満点の競演をして『トロヴァトーレ』を楽しませてくれます。

バルトレッティ指揮するベルリン国立歌劇場管弦楽団&合唱団も迫力十分で、イタリア歌劇、ヴェルディ歌劇を堪能させてくれます。

掘り出し物の演奏です。