ヴェルディの歌劇『仮面舞踏会』を聴きます。

この歌劇は、は『運命の力』『ドン・カルロ』と並び、ヴェルディ中期を代表する三大傑作の1つです。と、言うことはイタリアを代表する歌劇と過言ではない歌劇です。

ドラマチックで情熱的なメロディーが、そこかしこに飛び交う非常に面白いヴェルディ並びにイタリア歌劇の醍醐味を満喫出来る傑作歌劇です。

例にストーリーや歌劇の詳しいことは、ネットや書籍で確認して下さい。

今日聴いたのは、アルトゥーロ・トスカニーニが指揮する NBC交響楽団が1954年に、彼が最後に録音した演奏です。

配役と歌手は、以下の通りです。
リッカルド: ジャン・ピアース(t)
アメリア: ヘルヴァ・ネルリ(s)
レナート: ロバート・メリル(br)
オスカル: ヴァージニア・ハスキンズ(s)
ウルリカ: クララーメ・ターナー(ms)
シルヴァーノ: ジョージ・チェハノフスキー(br)
サムエル: ニコラ・モスコーナ(bs)
トム: ノーマン・スコット(bs)

合唱は、ロバート・ショウ指揮)のロバート・ショウ合唱団です。 

トスカニーニ特有の劇的な推進力と流麗なカンタービレの魅力満載の演奏です。
トスカニーニ指揮の魅力が振り撒かれ、『仮面舞踏会』の魅力を更に増幅させて、イタリア万歳って感じの演奏に終止しています。
オーケストラはNBC交響楽団ですが、まるで本場ミラノ・スカラ座のオーケストラかと聴き間違いかと錯覚を起こしそうな演奏をしています。イタリアの音がします。そのような演奏をさせるトスカニーニの指揮の手腕に感服します。
張り詰めた緊張、息をも付かせぬ音楽の展開。
流石、トスカニーニです。

後年同じイタリアのアバド等の指揮者が、名演を残してますがトスカニーニの前では影が薄いです。若干ですが。
とにもかくにも、素晴らしい演奏です。これぞ、真打ちの演奏です。

歌手も全てトスカニーニの強靭な指揮の掌中にあり、今からするとピアース、メリルやネルリ等、幾分古めかしい歌唱のように聴こえますが、文句の付けようの朗々たる見事な歌唱をしています。

また、合唱も素晴らしく上手い。ミラノ・スカラ座の合唱団かと思うくらいの合唱を聴かせています。流石、アメリカ屈指のアメリカを代表する合唱団です。トスカニーニが、その実力を認めるのも頷けます。

僕が思うには『仮面舞踏会』においては、このトスカニーニの演奏とカラヤンとウィーン・フィル(そう言えば、カラヤンも生涯最後に録音したのも『仮面舞踏会』でしたかな)が残した演奏が、頭1つ抜け出していると思います。

機会があれば、聴いて欲しい演奏です。