ワーグナーの歌劇『さまよえるオランダ人』を聴きます。
「オランダ人船長が神を罵った罪で永遠に海をさまよい続ける」という幽霊船伝説をもとに書かれた、ワーグナー28歳の時に作曲された歌劇です。
あらすじ等細かいことは、ネットや書籍で確認して下さい。
後の大作の楽劇等を産み出す原点となるドイツを代表する歌劇であることは、確かです。

後の大作の楽劇からするとオーケストラの使い方に濃厚さは足りないような気がしますが、既に後の大作を産み出す素養は確立されていて、逆に合唱の使い方は、巧みで歌劇の魅力を倍加するもので申し分ないと思います。


演奏は、バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団で指揮をしているのは、ヴォルフガング・サヴァリッシュです。1960年のバイロイト祝祭劇場でのライブ録音による演奏です。

バイロイト祝祭劇場での生々しい緊迫した雰囲気が伝わる演奏をしています。
歌劇の指揮に抜群の手腕を奮う当時34歳だった若手のサヴァリッシュが、バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団及び歌手を自由自在に操り『さまよえるオランダ人』の魅力を初期のワーグナーの高い作曲技術を示したオーケストレーションの妙を引き出すものとなっています。
幾多の巨匠の指揮者たちが録音を残していますが、彼らと遜色ない指揮をしています。
後に、バイエルン国立歌劇場で活躍する片鱗を見せる卓越した指揮をしています。

歌手と配役は、以下の通りです。
フランツ・クラス(オランダ人)
アニヤ・シリア(ゼンタ)
フリッツ・ウール(エリック)
ヨゼフ・グラインドル(ダーラント)
ゲオルグ・パスクダ(舵取り)
レス・フィッシャー(マリー)

全ての歌手が、美声を競いあってバイロイトの舞台に立てたことを幸せを噛みしめ緊張感を持って歌っているのが、ライブ録音と言うこともありひしひしと伝わって来ます。

歌手では特に、1950年代から1960年代におけるバイロイトでは欠かせない偉大で重要なワーグナー歌手ヨゼフ・グラインドルの魅力ある低音が響くように存在感の声で歌っているのが、嬉しいし感服します。

ゼンタ役で歌っているアニヤ・シリアはバイロイト歌劇場デビューとなるそうで主役の1人と言っても良いゼンタを若々しく張のある歌声で、後の活躍を予感させる歌唱を聴かせてくれてます。

オランダ人を歌うクラスもデビューして間もないですが、既に立派な歌唱していて後のドイツ歌劇に欠かせない歌手となることを予感する歌唱をしてます。
そして、グラインドルに負けない低音の声に魅了されます。

とにもかくにも、バイロイトでのワーグナーを聴く醍醐味を味わえる演奏には、間違いです。