シェーンベルクの交響詩『ぺリアスとメリザンド』と管弦楽のための変奏曲の2曲を聴きます。

シェーンベルクの代表となるオーケストラ曲です。『ペリアスとメリザンド』に纏わるオーケストラ曲には、フォーレやドビュッシー等があります。どれもロマンチックで美しく艶っぽい音楽で包まれています。しかし、シェーンベルクのそれは少し違います。後期ロマン派風の交響詩となりますが、劇的で刺激的でちょっぴり官能的な現代風の音楽が繋がります。
複雑な対位法の駆使等して、まるで交響曲のような出来映えです。そして、演奏時間に約45分程度を要します。シェーンベルクの管弦楽曲としては、大作です。

管弦楽のための変奏曲は、彼が1926年から1928年にかけて作曲した管弦楽曲で、シェーンベルクの代名詞の12音技法を用いて書かれた最初の作品で、かなり大規模な作品となっています。

曲の解説やシェーンベルクについては、ネットや書籍で確認して下さい。

さて、今回聴いたのは、ピエール・ブーレーズとシカゴ交響楽団が、1991年頃に録音した演奏です。

シェーンベルク等の現代風の音楽では、水を得た魚のようにブーレーズは、抜群の分析力と複雑な音符が錯綜するオーケストラを卓越した指揮によってシェーンベルクの魅力を手繰り寄せてくれます。『ペレアスとメリザンド』に物語性を求めるなら、実に面白く聴かせてくれるカラヤンとベルリン・フィルの演奏をお薦めします。

シェーンベルクの音楽を学究的に聴きたいなら、このブーレーズとシカゴ交響楽団の演奏をお薦めします。物語性を度外視して、シェーンベルクの複雑な対位法や現代音楽の何たるかを体験したい場合には、最適でありそのような観点で、聴きたい時は実に打って付けの演奏です。

ブーレーズの指揮の下で、完璧に反応するシカゴ交響楽団には感服します。
アメリカを代表する合奏能力、演奏技術とパワフル過ぎるくらいのダイナミックな持ち味をフルに稼働させた演奏は、ベルリン・フィルに匹敵するような演奏をしています。

管弦楽のための変奏曲、こちらはシェーンベルクが12音技法を駆使した曲ですが、曲の細部まで知り尽くしたブーレーズが切れ味の鋭く、明快な視点でシェーンベルクに切り込み12音技法の特徴、魅力を伝える指揮をしています。
シカゴ交響楽団もブーレーズの指揮に的確に順応し高い卓越した技術力を持って、この曲を魅力あるものとしています。
僕は、この曲に関してはカラヤンの演奏を凌駕していると勝手に悦に入っています(笑)。

最後に言えることは、見事で素晴らしいだと言うことです。