マスカーニの歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』を聴きます。

今回聴いた演奏は、以下の通り。
アグネス・バルツァ(サントゥッツァ)
プラシド・ドミンゴ(トゥリッドゥ)
フアン・ポンス(アルフィオ)
ヴェーラ・バニイヴィチ(ルチア)
シュザンヌ・メンツァー(ローラ)
コヴェント・ガーデン王立歌劇場合唱団
フィルハーモニア管弦楽団
ジュゼッペ・シノーポリ(指揮)
1989年に録音された演奏です。

マスカーニの歌劇は、この1曲しか聴いたことがありませんがイタリアの歌劇特有の情熱的で熱狂的で、躍動感があり、叙情的な所は徹底的に叙情的でこの歌劇だけでマスカーニの醍醐味が堪能出来ます。

この歌劇には、カラヤンがミラノ・スカラ座を使った超絶的なあらゆる面で神様のような名演がありますが、それからするとシノーポリの演奏はやや小粒な演奏と言わざるを得ませんが、カラヤン盤の存在を忘れればトップの位置に持って来ても良い演奏しています。

シノーポリの指揮は、マスカーニの楽譜に書いた音楽を冷静に分析し、細部にはあまり拘らずごく自然に音符に語らせるような演奏をしています。
熱狂的な所は熱狂的に、叙情的な所は叙情的にヴェリズモ・オペラは、こんな感じに演奏すると言うことを伝えてくれるような指揮をしています。
そして、イタリアの片田舎で起こる惨劇の雰囲気を漂わせてくれます。

ヴェリズモ・オペラを指揮しない先輩指揮者アバドの一歩先を行く指揮をしていて、同じく先輩指揮者ムーティに肩に並ぶ指揮をしています。

フィルハーモニア管弦楽団も、シノーポリの指揮に完璧に応えシノーポリの要求する音色、音価を忠実に演奏しています。
そして、カラヤンのミラノ・スカラ座のオーケストラに負けないマスカーニ音楽の魅力を伝えてくれる演奏をしています。

バルツァの歌うサントゥッツァは艶っぽい歌声で腹の底から嘆き、悲しみを伝える雄弁な歌唱をしています。カラヤンのお気に入りのメゾであったのが頷けます。まさしく、ブラーヴァです。

トゥリッドゥを歌うドミンゴ、何の文句の付けようもない安定した歌唱でトゥリッドゥの心情を熱く語るのは、圧巻です。こちらも、ブラヴォーです。

その他の歌手も、申し分のない立派な歌唱をして主役2人を際立たせています。

指揮者、オーケストラ、歌手の三位一体となった見事な演奏でヴェリズモ・オペラを満喫させてくれる名盤に加えて良いと思います。

是非ともこの演奏を聴いて、ヴェリズモ・オペラの魅力を堪能して下さい。