ショスタコービィッチの交響曲第7番『レニングラード』を聴きます。

彼の全作品中でも交響曲第5番と並び、かつ人気のある曲の1つでもある。
ショスタコーヴィチの交響曲の中で最も演奏時間が長い。言わば、大作です。

彼が、第2次世界大戦の最中、ナチス・ドイツ軍に包囲されたレニングラード市内で作曲された交響曲で、戦争をテーマとした交響曲です。
音楽の内容は、戦争をテーマにした交響曲ですから極めて壮大であり、戦争の生々しさを感じる交響曲です。ブルックナーやマーラーの壮大さとは違った意味合いを持つ壮大さです。

今日聴いた演奏は、ユンゲ・ドイチェ・フィルハーモニーとモスクワ・フィルハーモニー団員の合同のオーケストラをルドルフ・バルシャイ指揮した演奏で、1991年にライプツィヒのゲヴァントハウスでのライブ録音です。

この演奏会は、ナチのソ連侵攻50周年を記念して、ゲヴァントハウスで催された反戦記念演奏会です。言うなれば、敵味方入り乱れて(?)の演奏会です。

指揮のバルシャイは、ショスタコーヴィチとも深交が深く彼の作曲した時代背景を慮った演奏で自身が弦楽器奏者(ヴィオラ)でもあったことから、細やかな神経が細部までに行き届いた指揮をしています。

確かに、言い方は悪いですが寄せ集めのオーケストラを上手く取り纏め、同じ方向に向かわせ同じロシアのムラヴィンスキーの演奏や、西側のバーンスタインの演奏のようにダイナミックで煮えたぎるようなスケール感はありませんが、戦争の悲惨さ等の情景をコンパクトに纏め、細部で明らかにしてくれる指揮をしてます。

オーケストラも、そんなバルシャイの指揮に反応し合同であるとのハンディを乗り越え、交響曲第7番『レニングラード』が書かれた時代背景、その場の緊迫感を力の限り描写した演奏には、感服します。演奏会の臨場感が味わえるライブ録音だから、尚更です。

先の指揮者の大オーケストラを指揮した演奏からすると、やや部が悪いかも知れませんがショスタコーヴィチのこの交響曲に寄せた熱い想いは、十分伝わって来ます。
特に、最終第4楽章のライブならではの爆発的な盛り上がりは、ムラヴィンスキーやバーンスタインに負けてません。

名演であることは、間違いありません。