ルトスワフスキーのオーケストラのための協奏曲を聴きます。

彼は、様々な形態の作品を残していますが、オーケストラ作品で随一の人気を誇るのが「管弦楽のための協奏曲」です。
ポーランドの民俗的な旋律を用いて、部分的に無調による対位法まで交えながら、パッサカリア、アリオーソ、コラールといったバロック様式を取り入れ20世紀なかばの作品としては聴きやすく、しかもオーケストラの能力を存分に発揮する音楽に仕上がっています。まぁ、バルトークの管弦楽のための協奏曲に比べたら、影が薄いですが名曲であることには、違いありません。これ以上の細かいこの曲のことは、ネットや書籍に譲ります。

演奏は、小澤征爾とシカゴ交響楽団の演奏で1970年に録音された演奏で、シカゴ交響楽団がショルティの色に染まる前の演奏で、若き小澤の特徴、長所が全面に出た演奏となっています。
シカゴ交響楽団の優れた技術を、小澤が巧みに引き出しています。

複雑な楽譜を指揮する得意とする小澤が、複雑な楽譜を徹底的に読み込み消化し、バランス良くオーケストラの音を巧みに配置して、ルトスワフスキーの作曲の意図を具現化した名演です。

小澤により、複雑で現代風の情報量の多いこの曲を面白く聴かせるために、優れた技術を持つシカゴ交響楽団を巧みに指揮しルトスワフスキーの魅力をしっかり伝えています。

小澤の高い指揮者としての能力を再認識する、見事で素晴らしい演奏です。
現代音楽を毛嫌いする人にも、小澤の魅力、指揮者としての実力を知るためにも是非聴いて欲しい演奏です。