ヴェルディの歌劇『椿姫』を聴きます。

彼の作曲した歌劇の中で最も人気があり、演奏される機会も多く世界各地の歌劇場の主要なレパートリーになっているヴェルディの代表作です。

 歌手の歌う美しいメロディー、「乾杯の歌」での合唱等聴き所が満載の歌劇の構成となっています。

男女の悲哀をたたえた悲劇であっても音楽的には明るさ、華やかさ、力強さを失わないヴェルディの作曲技術がもっとも良く発揮されており、それらが人気の源泉となっていると思います。
2時間ちょっとの演奏時間が、あっという間に過ぎてします見事で素晴らしい歌劇です。


今回聴いたのは、歌劇『椿姫』と言ったらこの演奏カルロス・クライバーとバイエルン国立歌劇場管弦楽団とバイエルン国立歌劇合唱団が、1976年から1977年に録音された演奏です。

歌手と配役は、以下の通りです。
イレアーナ・コトルバシュ(S:ヴィオレッタ)
プラシド・ドミンゴ(T:アルフレード)
シェリル・ミルンズ(Br:ジェルモン)
ステファニア・マラグー(Ms:フローラ)、他

優れたオーケストラと合唱団の演奏、素晴らしい歌手たちの歌唱、クライバーの繊細でダイナミック漲る指揮と、見事で最良の組み合せによる演奏が楽しめます。

イレアナ・コルトバスはすばらしく自然で最後に病に倒れ、恋人アルフレードと別れ鬼籍に入ってしまうヴィオレッタの心情を見事に歌い上げる歌唱をしています。
僕の中では歴代のヴィオレッタの中でカラスより彼女が1番と思っています。

ヴィオレッタを一途に思う若きアルフレードを、1番声の質に張りと力のあったドミンゴの熱唱にうっとりさせらます。
ことに第3幕と終わりの2人の別れでのコルトバスとドミンゴの熱のこもった歌唱は、涙が自然と出て来ます。

アルフレードの父ジェルモンを歌ったミルンズも主役2人に負けない熱唱を聴かせてくれ、その美声で安定感を溢れる歌唱をして、子から慕われる頼りがいのある父を演じています。

この『椿姫』は主役3人を聴くような演奏となっていますが、最大の主役はあくまでカルロス・クライバーのショーであり、クライバーを聴く演奏です。

映像で観られるクライバーのしなやかで、鮮やかな指揮で、テンポは早めであってもエネルギッシュでドラマチックな最上の『椿姫』が聴けます。

バイエルン国立歌劇場管弦楽団から、恐ろしい程の程の緊張感と起爆力を引き出して聴く者を刺激的なくらい、熱狂的な興奮を与えてくれます。
そう、スピルバーグ絶頂期の映画を観てるように。

まぁ、今現役で活躍している指揮者では誰1人出来ない演奏が、ここにあります。

『椿姫』において後生に伝えるべき演奏であり、絶対に聴いておくべき演奏です。