ウェーバーのピアノ・ソナタ第1番を聴きます。
渋いところを聴くでしょう(笑)。

ウェーバーの番号のついた最初のピアノ・ソナタです。まるでショパンを思わすロマンチックで穏やかな流れに不安な影が見え隠れするあたりは、ショパンそのもの。
美しいメロディーとロマン溢れる進行は、同じドイツのベートーヴェンと一味違ったピアノ・ソナタの醍醐味を味わうことが出来ます。
4つの楽譜から成り立っていて、演奏に28分くらい要します。
古典派の雰囲気を残しながら、ロマン派のピアノイズムを醸し出す見事で素晴らしいピアノ・ソナタです。もっともっと演奏の機会を与えて欲しいものです。

今回聴いたのは、これも渋い玄人好みのイタリアのピアニスト、ディーノ・チアーニの演奏です。

明確でクールで緻密に計算し尽くされたピアノの音色に魅了されます。
和音の強打も濁りもなく鮮やかな響きを聴かせてくれます。ウェーバーのピアノ・ソナタの魅力を完璧に再現しています。

若くして鬼籍に入ってしまったのが、惜しまれます。存命であれば、間違いなく同年代のポリーニの好敵手になったに違いありません。間違いなく。