「落ち着け。落ち着け。」
食事の支度や布団の準備をしていた私に
ニコニコしながら息子が言った。
久しぶりに帰省した息子。
お腹は大きく張り出し二重顎。
髪も薄くなってきて、
年齢より遥かに上に見える。
「そのお腹に何が入ってるの!」
私の嫌味に対し、
すかさず息子が言った。
『夢と希望』
二人で大笑いした。
小さい頃から叱ってばかりだった私。
ネガティブであまのじゃくだった息子。
働いて色んな事を学んだのだろう。
今は息子の方がしっかりしていて、
親子と言うより仲間という感じ。
ついつい小言を言ってしまう私を
「ハイハイ。」と笑顔でかわす。
車が混んでいても
駐車場が空いていなくても
ニコニコしながらよく喋る。
私が作ったカレーを
久しぶりに頬張りながら、
「コレコレ!」と嬉しそうに笑う。
帰省の時間。
空港で見送った際、
何度も何度も振り返る息子。
人混みの中、
精一杯背伸びをして手を振る私。
泣きそうになったが、
高齢の父が側にいたので、
グッとこらえて父を気遣った。
綺麗に畳まれたパジャマと
シンクに置かれたマグカップ。
息子がいた形跡を見て涙が出た。
歳を重ねるごとに
家族の大切さを感じてきたが、
よりハッキリと私の中心で
金色に輝く宝に気づいた。
私はすでに凄いものを持っていた。
生活や子育てに追われて、
見ていたつもりが見えていなかった。
見た目や学歴、性別関係なく、
あの子の魂ならそれでいい。
私の宝物。
生まれてきてくれて有難う。
また元気で会える様に
『夢と希望』はほどほどにね。![]()

