今回も前回の続きから。
そんなことがあった数日後、私に6万円ほどを借りようとしていたあの女性スタッフが、看護部長と話しているのを見かけました。
警察まで介入し、病院全体でも事態が大きくなっていたので勿論、他の病棟や部署までもその話は回っていたでしょう。その方がどうやら怪しいという話も。
そのことが分かっていましたから、一目でその話をしているんだろうなあ、と思いました。
暫くすると姿がなくなっていましたが、ただ人目のつかない場所に移動しただけのようで、それから1時間以上は戻ってくることはありませんでした。
また、仕事へと戻ってきたその方が意気消沈している、ということもなかったのです。むしろ、私には平静に見えました。
そしてそのことがあってから、その方は辞めていきました。
結局、そのスタッフからの聞き取りからも何も分からなかったようで犯人も分からずじまい。
被害に遭ったスタッフはその後も思い出したようにたまに警察から連絡が入っていたようですが。
盗難事件との関わりは分からないですが、他のスタッフとの金銭のやり取りが明るみになったことで辞めていったという形に治まりかけました。実際にその方が辞めてからは、金銭トラブルもなく「あの人が犯人だったんだろう」と口には出さずとも、そんな雰囲気が広がっていきました。
しかし、次々と様々なことが分かったのはそんな頃でした。
ある日、一人の患者様が不穏になり、病棟中に響き渡る叫び声がしました。
暴れたり、暴力の危険がありましたら数人のスタッフで対応しますが、取り乱しているだけのようだったので2人ほどのスタッフが話を聞き、1時間も経つ頃には何とか落ち着かれたようでした。
結論を申し上げますと、退職したその女性スタッフがその患者様からもお金を借りていたのです。
一度や二度ではなかったようで、数回に渡ってやり取りがあったとのことで、退職したことを知った患者様が「まだ返してもらってないのに!」と不穏になったということです。
まさか、患者様にまで…と正直呆れてしまいました。師長や看護部長などの上司も寝耳に水だったようで、怒りすら覚えていました。
更にはそれに留まらず、他の患者様のご家族にも及んでいたようでした。
以前より、少し噂はあったのです。
その女性スタッフと男性が二人で外を歩いているのを見た。しかも、その男性は〇〇さん(患者さん)の旦那さんだった、と。
その時には不倫?などと皆、噂していたと思います。まあ、不倫が珍しくもない病院でしたので…然程大きな噂にはなっていなかったのですが、やはり退職して暫くした後、そのご家族がナースステーションで怒鳴り声を上げるということがあり、発覚しました。
あとこれは個人的にですが、私の旦那も貸してはいないものの、貸してほしいと言われたことがあるらしいです。
旦那とは職場恋愛だったので、当時は彼も作業療法士としてそこで勤務していました。
と言っても、所属している部署も違いますし、病棟のレクリエーションやOT活動でくらいしか接触がなかったはずにも関わらず、そんな要求をされていたことに驚きました。
これはその事件から数年後、結婚してから聞いたので私も寝耳に水でした。以前、記事にしました通り彼も大変、奇妙な人間なのでそこを狙われただけかもしれませんが。
もしかしたら、明るみになっていなかっただけで他にもそんな人がいたのかもしれないとすら思ってしまったことは間違いありません。
もう今更、詮索するつもりもないですが未だに時折、疑問に思うことがあるのです。
その当時は「借金があったのかな」とぼんやり思っていました。
しかし、その事件も大分薄れてきた頃、ある患者さんの話を聞いてしまったことで疑問が膨れ上がったのです。
続きはまた次回!