бесследно | Москва, Любовь Моя

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ロシア料理研究家、ロシア語通訳
中川亜紀のブログです。

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今日の言葉はбесследно(ベスレードナ)。
「跡形もなく」という意味。следが「跡」、бес-はwithoutの意味の接頭語、接尾語の-ноは副詞であることを表します。

この言葉は昨日、友人とスカイプでチャットしてた時に出て来て、辞書を引いた言葉。
上記のように分けてみればすぐに分かりそうなものですが、初耳だったので分かりませんでした。

彼女がこの言葉を使ったフレーズは以下。

Да, это не проходит бесследно!

このように何かが「跡形もなく」消えてしまうような時に使うようです。

その時私達が話題にしていたのは、うちの子供たちのこと。
モスクワ駐在中、日本人学校でのんびり育って来た我が子たち。東京に来て見ると、もう高学年となると受験を考えている子たちはすでに夏期講習などに忙しい。
娘はやる気はあるけど私自身が今イチ迷いがあったり(私自身、塾に行った経験がない。地方出身ということもあるけど)、すぐに行動が起こせないまま、「二学期からでいっか」と夏休みものんびり過ごしてしまっています。

ロシアのその友人は「K子は大丈夫よ!」と根拠もなく励ましてくれるけど、「でも東京だとこういう状況なのよ」などと説明していたところ。
そこで友人が言ったのが上記の言葉。
「(モスクワで過ごした時間が)何も残さず過ぎてしまうことはないわ」と。
モスクワでの1年は彼女にとって3年に値する経験。そこでの経験が人生に大きな糧となることは間違いない、だから心配するな、と彼女は言いました。
確かに、感受性が強く、多様な影響を受ける時期に子供たちがモスクワで過ごせたことは本当に貴重でした。
欧米の先進国で過ごすのとは違います。
きらびやかなことも、ダイナミックなことも、そして一般市民の素朴な明るさも、苦しみも、国家の矛盾やゆがみさえ、子供たちはちゃんと肌で感じ、私たち親と共に考えながら過ごして来ました。
メトロに乗っている時も、自分たちが住むマンションのエレベータでロシア人と一緒になった時も、親しいロシア人と楽しく会話する時も、「外国人としての日本人」という意識を持ちふるまうことを教えて来たつもりです。
それが、受験以上の何かになっているに違いないと、甘いと言われるかもしれないけど、信じています。


*週末市場で、顔なじみのピクルス屋のお姉さんのところで「いつものちょうだい!」と次男。
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