
小野不由美「残穢(ざんえ)」
夏という事で、いかにも”日本らしい”実話怪談風な怪奇小説を。
小野不由美「残穢(ざんえ)」
小野不由美さんは大分県中津生まれ。1988年作家デビュー。
主人公は作者の小野さんをモデルにしたラノベを中心に活躍している小説家の「私」。
発端は2001年の末、読者からの手紙。
1980年代末、(2001年から)10数年前のデビューの頃に書いた怪奇小説の単行本のあとがきで、読者から心霊話の体験談を募集したことがあり、読者から多数の体験談を頂いた。10数年経った2001年でも、古本で読んだという読者から体験談が届く。
手紙の主は、古本で読んだという、都内で書籍の編集をしている30代のライターの女性、久保さん。
最近引っ越したマンションで、夜中仕事をしていると、一人暮らしてペットも飼っていないのに、横の部屋からサーッサーッと畳をほうきではわくような音がする。パッと振り返っても何もいない。それが良く起こる、という。
しばらく経ち、久保さんから体験談の後日談が届く。
ほうきではわくような音はまだ続いている。先日、音が鳴った瞬間に振り返ると、一瞬床を滑る着物の帯が見えた。それで連想したのは天井から吊るした帯で首つり自殺する着物の女性がゆれる姿。垂れた帯が畳をサーッサーッとなでている状況。
「私」は似たような体験談が届いていた事を思い出す。確認すると、その住所は、部屋は違えど久保さんと同じマンションだった。そこで、久保さんと連絡をとり、二人で調査を始める事に。
起きている心霊現象は「怪奇小説」としては地味なんですけど、「実話怪談」としては、いかにも起りそうな現象でリアリティがあるんですよね。
しかも、この小説はフィクションですけど、色々と現実の事を織り交ぜてあるので、これ本当の話なの?と疑問に思えてくるんですよね。
例えば「私」が雑誌に実話怪談を連載したとか、「私」の夫が推理作家だとか(小野不由美さんの夫は推理作家の綾辻行人さん)、実在の作家さんが登場したりとか、あれ?と驚きますよ。
派手な怪奇小説ではないんですが、じわじわくる怖さ。だんだん謎が解き明かされていくミステリー小説みたいな楽しさ(怖さ?)
人によっては怖くないかもしれませんが、色々な不気味な妄想がふくらんできます。いや~怖い!
福澤徹三「怖の日常」と、菱井十拳「羅刹の国 北九州怪談行」
「怖の日常」には福澤徹三さんと「残穢」関連について。「羅刹の国北九州怪談行」には、「残穢」はフィクションですけど、実際にモデルとなった事件はなかったのか?という考察が書かれています。
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そして「残穢」は2016年に映画化されていて、監督は「ほんとにあった呪いのビデオ」シリーズの監督の中村義洋さん。
「ほんとにあった呪いのビデオ」は視聴者から投稿されてきた心霊映像をまとめたという「設定」のホラー映画。
最初、レンタルビデオで出た当時、フェイクだと知らなかったから「本物」の幽霊映像だとダマされましたヨ~(笑) さすがに何巻も出るとこれは違うだろ?と思い始めましたけどね(笑)
「ではご覧頂こう」「お分かり頂けただろうか?」という中村監督のナレーションも印象的!
そういうフェイクドキュメンタリーな映画に仕上がってました!
最近レンタルビデオで借りて見たんですけど、見終わってエンドロールが流れて一番最初に名前が出てくるのが主演で小説家「私」役の竹内結子さん。「残穢」とは関係ないでしょうけど、2020年にお亡くなりになられています。
ご冥福をお祈り申し上げます。
TAK SHINDO「FAR EAST GOES WESTERN」
TAK SHINDO「FAR EAST GOES WESTERN」
タク・シンドーさんは、1922年米国カリフォルニア州サクラメント生まれ。アメリカ移民の両親から生まれた日系二世。
10代の頃、太平洋戦争中は日系人強制収容所で過ごし、そこで音楽教育を受ける。戦後、大学で音楽を勉強し、1940年代後半からハリウッド映画やアメリカのテレビ界で作編曲家として活躍。
ハリウッド映画の日本ブームの中作られた「東京ジョー」「サヨナラ」など日本を舞台にしたハリウッド映画の音楽を手掛け話題となる。
私は、タク・シンドーさんというと、マーティン・デニーさんのアルバムで琴を演奏されていたのが印象的でした。
この盤は1962年に出たタク・シンドーさんの4作目のソロアルバム。いわゆる「エキゾチックサウンド」!
ジャケットは西部劇風な衣装を着た日本人女性と、日本風な松やちょうちんの絵が描かれています。
タイトル通り、ジャケット写真通り「極東がウエスタン(西部劇)に行っている」音で、西部劇(ウエスタン)映画の音楽をエキゾチックな楽器を使ったジャズアレンジで演奏された音楽。特に、三味線や琴の和楽器を多用した印象的な音です。
そういう企画モノ色が強いアルバムですけど、和風エキゾチックとして良いですよ~
ちなみにプロデュースはクインシー・ジョーンズさんだそうです。
この盤のボーナストラックとして、2作目から3曲、3作目から2曲収録してます。似たような作風ですがこちらはビッグバンドジャズ風エキゾチックサウンド。
この4作目「ファーイースト・ゴーズ・ウエスタン」はよりエキゾチック寄りな音となっています。
エキゾチックサウンド好きにはたまらない音です。
新潮文庫の100冊 2022
近所の本屋さんへ寄ると、新潮文庫も文庫本フェア!
今年の新潮文庫の100冊のプレゼントは、新潮文庫のマスコットキャラのキュンタの、透明プラスチック製の「ステンドグラスしおり」!
早速新潮文庫を4冊手に入れたので、「ステンドグラスしおり」を4葉頂いてきました~
海の上で読書するキュンタ
夏ですね~
そして、新潮文庫の100冊限定のプレミアムカバーで、コナン・ドイルさんの「シャーロックホームズの冒険」が入っていたので入手! こげ茶のカバーで良い感じです~
いつものカバーの「冒険」と並べてみた…かったんですが見つからず(汗)
ほぼ同じデザインなので「シャーロックホームズの叡智」と(笑)
ついでに、あかね書房の「推理・探偵傑作シリーズ」の「ホームズの名推理」と並べてみました!
このシリーズは子供向けの探偵小説全集で、表紙や挿絵を漫画家の横山まさみち先生が担当されているのが特徴です。
なぜ「ホームズの名推理」と並べてみたのか?というと、実は「ホームズの名推理」には4作収録されているんですが、そのうち3作が「冒険」からの収録なんです(笑)
M・C・ビートン「アガサ・レーズンの困った料理」
イギリスのパワフルな女性が主人公の探偵小説で、30作以上続いている人気作です。
M・C・ビートン「アガサ・レーズンの困った料理」
M・C・ビートンさんは1936年スコットランド・グラスゴー生まれ。1985年作家デビュー。2019年逝去。享年83歳。
主人公は表紙に描かれている、ロンドンでPR会社の社長をしているアガサ・レーズン。53歳。
アガサは、とにかくパワフルで強引で自己中心的。そんなアガサの夢は子供の頃に一回だけ訪れてあこがれている、イギリスで最も美しい村として有名なコッツウォルズに住む事。
50歳を超えてお金も貯まり、仕事をやめて、いよいよ夢のコッツウォルズで第二の人生を送る事を決め、早速家を買い移住する。
ところが今までの生活と違い、田舎では誰も注目してくれない。そこで注目される為に、村で開催されているキッシュの料理コンテストに出場する。ところがアガサが出品したキッシュは優勝せず、さらにそれを食べた審査委員長が死んでしまう。
アガサは毒殺犯として疑われるが…
1992年に書かれて人気となり、イギリス本国では30巻以上出版されている人気シリーズの第一巻。
何と著者のビートンさんが2019年にお亡くなりになった後も友人の作家によって書き継がれて、アガサ・レーズンものの新作が出版されているらしいです(笑)
舞台はイギリスで一番美しい村として有名で観光地のコッツウォルズ。
実はこの本を読むまでコッツウォルズを全然知らなくて(汗)
ネットで検索しましたけど、美しいところですね。「中世ヨーロッパ」のイメージ通りの田舎というか、実写版ドラクエの世界というか(笑) 探偵小説的には物陰からシャーロックホームズが現れてもおかしくない世界というか(笑)
著者のビートンさんはコッツウォルズ在住で、コッツウォルズに引っ越してからこのアガサ・レーズンシリーズを書き始めたとの事。
アガサが引っ越した村はコッツウォルズの中でも観光コースに入っていない静かな村。そんな村で起こるドタバタ事件。ユーモアミステリになるんですかね~いかにもイギリスらしい皮肉めいたキャラが大量に登場します(笑)
例えば、アガサは村で行われるキッシュの料理コンテストに出場するんですが、料理がからきし苦手なんです。それではアガサはどうしたのか?
何と人気料理店からキッシュを買ってきて、さも自分が作ったように入れ物を移し替えて出品するんです(笑)
ちなみにキッシュというのはフランスの家庭料理で、パイとピザの中間みたいな料理。
そんな感じで強引で自己中心的なアガサが静かな村で騒動を引き起こすドタバタミステリ。あれですよ! ミスター・ビーンみたいな(笑)
ん~ミステリ要素は薄めカモしれませんが面白いです(笑)










