近藤史恵「天使はモップを持って」
お仕事「日常の謎」ミステリです。これはビル清掃のお仕事を通して色々な社内の人間関係の闇を探っていお話。連作短編集です。
近藤史恵「天使はモップを持って」
この「天使はモップを持って」は、「キリコちゃん」シリーズの1巻目に当たります。1997年から連載が始まり 20年近く連載が続き、2016年に完結して、短編集や長編作品など「キリコちゃん」シリーズは5冊出ています。
主人公はキリコちゃん。10代の女の子。高校生の頃からビル清掃のアルバイトを始めて、高校卒業したあとも、ビル清掃の仕事をしています。
ただその仕事をしている時の格好が、ビル清掃の作業着ではなく、今風な女の子のオシャレなファッションで掃除業務をやっているんですね。だから初めてキリコちゃんを見た人は、とても掃除をする格好じゃないので驚かれるんですよね(笑)
キリコちゃんの掃除の仕事の能力はピカイチで一人で広いビルを担当しています。
キリコちゃんが掃除を担当してるビルの中の会社へ入社した新入社員の梶本大介(かじもと・だいすけ)は、入社して半月ほど経った頃、残業をしていてキリコに出会う。歳が近い事もあり、キリコと大介は仲良くなる。
ある日、大介の机の上に置いていた書類が何度も何度も無くなるという事件が起きる。キリコに相談する大介。
キリコがホームズみたいな名探偵、大介がワトスン博士みたいな語り手になって、事件を解決していきます。
2巻以降はキリコが担当するビルが次々と変わっていきます。つまり登場人物が変わるので語り手が大介ではなく、一話ごとに変わっていきます。
大介は長編作品「モップの精と二匹のアルマジロ」で再登場します。
ちなみにこの「天使はモップを持って」の文庫本は「実業之日本社文庫」からの文庫本ですが、実業之日本社が2010年に文庫本を始めるまえは、「文春文庫」から出ていました。「実業之日本社」の雑誌に連載していたのでこちらが本来の姿なのかもしれません。
実業之日本社文庫版のあとがきに近藤史恵さんが書かれていますが、第5話「ロッカールームのひよこ」の結末部分が文春文庫版から変更されています。トリックとは無関係な部分なので、ミステリ的には問題ないんですけど、読後の感想が変わってきますね~どちらが良いのかはお好みで!と言う感じですかね~
この1巻から5巻「モップの精は旅に出る」が発表されるまで、現実の世界では20年経ってますけど、本の中の時間では1巻ごとに1-2年時間が経つように書かれているそうです。もちろんそれに伴ってキリコや大介、二人の家族など、歳も取っていきますし、1巻から順に読緒んでいくのが楽しいですね~