坂木司「シンデレラ・ティース」「ホテルジューシー」
この2冊はどちらも坂木司さんの文庫本。どちらも”日常の謎”のミステリー小説。似たような表紙絵で姉妹作と言っていい作品なんですが、出版社が違うんですよね(笑)
坂木司「シンデレラ・ティース」「ホテルジューシー」
”日常の謎”ミステリというのは、推理小説のジャンルの一つ。普通はミステリで扱われる事件というと、殺人や強盗、汚職事件など大きな事件ですよね。”日常の謎”は名前通りちょっとした日常での疑問を解いていくことで生活のドラマをあぶり出していくミステリ。
この2冊、姉妹品といっても、続編という訳ではなくて、登場人物に多少連動があるんですね。
「シンデレラ・ティース」の主人公はサキちゃんこと叶咲子(かのう・さきこ)、「ホテルジューシー」はヒロちゃんこと柿生浩美(かきお・ひろみ)。二人は友人で、二人とも都内在住で都内の大学に通う大学二年生の女の子。
来年の夏休みは就職活動等で忙しくなるので、大学二年生の今年の夏休みはバッチリとアルバイトして卒業旅行代を稼いでおきたい、と二人ともアルバイトに精を出します。
アルバイトとそのお客さんを絡めた”日常の謎”ミステリとなっています。
まず「シンデレラ・ティース」。
サキ(叶咲子 かのう・さきこ)は、おっとりとしたお嬢さんぽい性格の一人っ子。歯科医をやってるサキのおじさんが勤めてる歯科医院の受付が辞めたため、サキに「夏休みの間だけでも働いてくれないか?」と。渡りに船と、歯科医院の受付でバイトすることに。
色んなキャラの歯科医院のスタッフと、来院する患者が起こす色々な謎の行動をめぐってドラマが始まります。
歯科医院に勤め出したのは良いんですが、サキは小さい頃の嫌な思い出から歯科医院が大嫌いなんですね(笑) まぁ~歯科医院が大好きと言う人は少ないとは思いますけどね(笑)
サキの恋愛話にもなっていくので、ちょっと甘めなオハナシになってます。歯科医院が嫌いだったという事とのギャップ恋愛と言うんでしょうか。色んなギャップが絡まった恋愛バナシとなってます。もちろんミステリですよ(笑)
次は「ホテルジューシー」。
ヒロ(柿生浩美 かきお・ひろみ)は兄弟が多い大家族の長女。忙しい両親に代わって食事の支度や、年の離れた弟妹の世話等をこなしてきたため、いわゆる世話好きな性格、高校時代の友人に「お母さんみたい」と言われたことがある、悪く言えばお節介な性格。
そんな性格なので接客業がやりたいと、ヒロは沖縄・石垣島の民宿のスタッフのバイトをする事に。ところが働き始めて早々、ヒロの性格を見抜いてか民宿のオーナーから、那覇にある知り合いのホテルのスタッフが辞めて困ってるので、そちらを手伝ってほしいと。快諾したヒロは、今度は那覇の「ホテルジューシー」でバイトする事に。
キャラがそろった「ホテルジューシー」のスタッフ(不眠症でいつも眠そうなオーナー代行、清掃のあばあちゃん、コックの比嘉さん)、色々な理由で宿泊する宿泊客の謎を解き明かしていくミステリとなっています。
沖縄の開放的な空気。今まで忙しい生活を送って来たヒロにとって対極な生活。「ホテルジューシー」が長期滞在に対応した安宿という事もあって時間の流れがヒロとは全然違うんですね。
ヒロの世話好きな性格は、時にはお節介なほどお客のプライベートに立ち入ります(笑) それが”家政婦は見た”みたいなお客の別な一面を見る事にも。
「ホテルジューシー」の従業員のキャラが濃ゆくて良いんですよね~
二重人格的というかスイッチのオン/オフがはっきりしてるオーナー代行を筆頭に、いつもおだやかな清掃係の双子のおばあさん・センばあとクメばあ、作る料理がどれも美味しそうなコックの比嘉さん、とキャラが立ってます。
スイッチのオン/オフがはっきりしてるのは、シャーロック・ホームズはじめ古今東西を問わず名探偵には多いですけど、御多分に漏れずオーナー代行も名探偵…じゃなく迷が付くメイ探偵(笑)
前述通り、あくまでも登場人物がリンクしてるだけなので、必ず2冊とも読んで!とは言わないですけど(笑)
個人的には「シンデレラ・ティース」→「ホテルジューシー」の順に読んで欲しいかな? 本の中でサキとヒロが電話で話すシーンがあるんですけど、そのシーンを2冊で見比べるのも興味深いですね~