「中年スーパーマン左江内氏/未来の思い出」藤子・F・不二雄大全集
藤子・F・不二雄大全集の一巻なんですが、F先生の大人向けのSFマンガ2作品を収録したものです。
「中年スーパーマン左江内氏/未来の思い出」
「中年スーパーマン左江内氏」は、1977~78年に「週刊漫画アクション」に月一で連載された毎回読み切り作品。
タイトル通りの、さえない中年サラリーマン係長の左江内さんが、ひょんな事からスーパーマンになってしまう、というSFギャグマンガです。
F先生のこういう超能力系統の漫画というと、「パーマン」「エスパー魔美」等ありますが、その大人バージョンとも言えますね。
スーパーマンのスーツから、特殊な光線が発生しているので、そのために周囲の人はスーパースーツを着た左江内さんを覚えていないんですね。「TPぼん」のフォゲッターみたいですけどね(笑)。だから、周りの人は、左江内さんを誰もスーパーマンと思っていないんですよ。これもまた藤子マンガですね。
ただ、スーパーマンになったと言っても、扱う事件は「パーマン」みたいに大事件じゃなくて、「エスパー魔美」みたいな日常のささいな事件(…とも言えない揉め事?)ばかり。
前任のスーパーマンからスーパースーツを譲られた理由が、平凡で常識家、スーパーマンの力を得ても悪事に使わなそうな小心者だから(笑)。まぁ~使っても、空を飛んで通勤に使うくらいで(笑)
「~左江内氏」好きなんですよ。これも日常ギャグマンガになるんですかね。「エスパー魔美」とはまた違ったアプローチで、中年男性が主人公ということもあって、味わい深いです。同じく中年スーパーマンものの「ウルトラスーパーデラックスマン」という短編がありますが、それとはまた全然違う感じなんですよね。
以前中央公論社からでていた藤子先生の全集「藤子不二雄ランド」版「~左江内氏」を持っていますが、このF全集版には、それには未収録だった2話が収録されています。
同時収録の「未来の思い出」は、1991年に「ビッグコミック」に連載されたもの。F先生をモデルにしたと思われる漫画家・納戸理人(なんど・りひと)が主人公です。
40歳過ぎの漫画家・納戸理人(なんど・りひと)は、漫画の人気が最近は少し下降気味。ゴルフはヘタクソなのに出版社のゴルフコンペに出場したところ、ホールインワンをやってしまった為、その驚きのあまり心臓麻痺を起こして意識を失ってしまい…納戸が気がつくと…そこは20年前!漫画家を目指して上京したばかりの1971年。当時住んでたボロアパートに…。納戸はもう一度、人生をやり直す破目になります。
この作品は、このF全集で初めて読みました。
「まんが道」がA先生から見た藤子不二雄のお話とするならば、「未来の思い出」はある意味、F先生版「まんが道」と言えるようなお話かもしれませんね。でも、「まんが道」みたいな大河ドラマじゃなくて、SFマンガですよ(笑)
ニヤリとするようなモノがたくさん出てきますしね。たとえば、”トキワ荘みたいな”アパートや、”大学館”という出版社や(笑)、どこかで見たような漫画家の各先生方が出てきたり(ゴルフが下手な藤木・F・不二雄とか 笑)…そして、この「未来の思い出」のストーリー自体がある意味、「ドラえもん」のパロディでもありますよね(読んだ方ならお分かりでしょう 笑)
しかも、大小色々な伏線が張ってあるので、私は一回読んだだけだと気付かなかった部分も結構ありました。もしかすると私みたいに二読三読して、色んな伏線に気付かれる方もいらっしゃるんじゃないですかね~
この「未来の思い出」を、二読三読と言わず何回も読み返しているのは、面白いのはもちろんですが、この作品が好きになってしまったからです(笑)
時間をテーマにしたSFは、取り返しのつかないモノを扱っているだけに読後感が切ないんですよね~しかも、F先生の晩年と言えるような時期の作品ですし、F先生がお亡くなりになって十数年経った今、この作品を読んでいるとなんだか不思議な感じがしますね~23日は、F先生の17回忌になります。