岡本綺堂「半七捕物帳」 | 行雲流水的くっぞこ

岡本綺堂「半七捕物帳」

 最近、読み直してて、やっぱり面白かったので。

 岡本綺堂「半七捕物帳」(1917~1936年)です。


 岡本綺堂さんは、明治5(1872)年、東京生まれ。新聞記者として働きながら、新歌舞伎の脚本・小説を書きます。脚本家として有名になってからも、小説を書き続けます。1939年没。


 「半七捕物帳」は、捕物帳の元祖でもあるんですが、日本の探偵小説としても、先達ですね。

 「半七捕物帳」が、雑誌「文芸倶楽部」に初掲載されたのは、大正6年1月号。たとえば、日本の探偵小説といえば、江戸川乱歩さんですけど、彼のデビュー作、「二銭銅貨」が、雑誌「新青年」に掲載されたのは、大正12年4月号。6年も前に書かれています。


 主人公は、江戸末期に岡っ引きをやってた”半七”。その半七の岡っ引き時代の活躍話を、明治30年頃に、新聞記者の”私”が聴くという構成です。

 シャーロック・ホームズに影響を受けた作品ですね。”半七”と”私”の関係は、”ホームズ”と”ワトスン”の関係にも似てますね。これは、第一話「お文の魂」の最後に出てくる文章なんですが、


”~これらの探偵談は半七としては朝飯前の仕事に過ぎないので、その以上の人を衝動するような彼の冒険仕事はまだまだほかにたくさんあった。彼は江戸時代に於ける隠れたシャアロック・ホームズであった。”


 江戸時代の日本家屋ですから、機械的なトリックを重視したようなものじゃなくて、プロット・動機を探すような話ですね。全部で69話ありますが、話の種類もバラエティに富んでいます。

 ただ、実際に起こったような事件なので、別に大捕り物だったり、アクションシーン満載みたいな、そういう話じゃないんですよ。だから、地味といえば地味なんですけどね。

 例えれば、北村薫さんの、”日常の謎”ミステリーを、江戸時代で展開したような感じでしょうか。扱ってる事件は、殺人・窃盗等、結構重かったりするんですけどね。何か、過去の話ということで、似た匂いがするんですよ。


 大正6~昭和11年に書かれたもの、~既に、書かれて90年近く経っていますけど~、もともと、聴き書きの形式ですから、全然古くなってないんですよ。

 つまり、大正6年の”私”が、明治30年頃に、半七老人に聞いた探偵談を書き記している、というわけですから。発表当時の時点で、すでに、20年前(明治30年頃)に聞いた話(話自体は、江戸の末、更にそれから30~50年前の話)という設定なんですよね。


 私が持ってる、↑の画像のように、この作品は文庫本でも、出てますけど、↓ここでも読めます。


 青空文庫(岡本綺堂さんのページ)

  作品リストのうち、下のほうにあります。