中野晴行「球団消滅」 | 行雲流水的くっぞこ

中野晴行「球団消滅」

 最近、本を紹介してないな、と思って、これ。肩肘張らないノンフィクション本ですけどね。

 中野晴行「球団消滅」(2000年)です。


 中野晴行さんは、1954年、和歌山生まれ。漫画評論家です。


 ”球団消滅”なんて、ショッキングなタイトルが付いてますけどね。この本は、終戦直後のプロ野球のゴタゴタを、ライオン軍~朝日~パシフィック~太陽(大陽)ロビンス~松竹ロビンスの球団オーナーだった、田村駒治郎さんを中心に描いたノンフィクションです。


 田村さんは、明治34(1904)年、大阪生まれ。父の跡を継いで、繊維商社「田村駒」の社長になります。

 学生時代から野球をやってた田村さんは、大正15年、欧米へ繊維の視察旅行へ出た際に、大リーグを見学します。そこで、球団オーナーの夢を持つんですね。でも、日本に本格的なプロ野球が誕生するのは、昭和9年以降ですから、まだまだ影も形も無い頃なんですよね。

 日本にプロ野球が誕生して数年、東京にあった球団”大東京軍”(昭和11年創設)から、身売り話を持ちかけられて、田村さんは、昭和12年に球団オーナーになります。


 戦前に存在していたプロ球団は、9チームだったんですが、昭和19年に終了。そこで、全球団解散しますが、翌年、敗戦を機に球団が続々誕生します。

 ここらのゴタゴタがすごいんですよね(笑)。引き抜き、移籍等がぐちゃぐちゃで(笑)。監督が他チームに移籍すると、その監督を慕う選手も一緒に移籍するとか。「国民リーグ」という地方回りをして試合をするリーグが出来たりとか。読売巨人の横暴さとか(笑)。←あぁ~、これは、今も変わらないですね(笑)。

 そのゴタゴタから、結果的に2リーグに分裂して、さらにそこでまたゴタゴタして。この前の、楽天~ライヴドア~近鉄~オリックスのゴタゴタを見てるようで(笑)。


 基本的に、球団オーナーになる会社というのが、新聞屋と鉄道屋だけ、という中で、一人、個人商店の球団オーナーである、田村さんのワンマンぶりが実に魅力的で(笑)。でも、こんな人が周りにいたら迷惑だろうなぁ~って(爆)。

 例えば、太陽(大陽)ロビンスの球団名のロビン(robin)は、駒鳥のこと。つまり、田村駒治郎の、名前(”駒”治郎)から付けてるんですよ(笑)。ワンクッション置けば実に魅力的な人。

 昭和36(1961)年没。田村さんは、昭和45年に野球殿堂入りしています。


 本の巻頭に1955年頃までの球団名変遷の簡略した見取り図が載ってるんですが、これが、この本を読む上で、実にありがたかったですね。球団名が分からないから(笑)。球団の分裂吸収があるので。