横溝正史MM(ミュージック・ミステリー)の世界 ― 金田一耕助の冒険 ― | 行雲流水的くっぞこ

横溝正史MM(ミュージック・ミステリー)の世界 ― 金田一耕助の冒険 ―

 羽田健太郎さんが先日お亡くなりになりましたね。

 「横溝正史MM(ミュージック・ミステリー)の世界 ― 金田一耕助の冒険 ―」(1977年)です。


 このアルバム、実は、映画やTVドラマのサントラじゃないんですよ。

 1970年代半ばの”横溝正史ブーム”の中で作られたもので、横溝正史さんの探偵小説の中で、”金田一耕助もの”の探偵小説10編を題材に、羽田健太郎・高田弘・成田由多可の3氏が、数曲ずつ作曲編曲したインスト集なんですね。いわゆる”イメージ・アルバム”というやつです。

 もしかして、サントラと勘違いして買った人も、いるんじゃないんでしょうかね(笑)。ジャケット絵が、角川文庫版の横溝正史さんの「悪魔が来たりて笛を吹く」の表紙絵と同じ絵を使ってますしね(笑)。角川映画の「犬神家の一族」封切りが1976年ですから。その翌年に発売されたもの。ん~。時代というか。


 音のほうは、ファンキーでポップなフュージョン~ジャズロック辺りの音です。これがいいんですよ。かっこいいんですよ、実は。

 金田一モノということで、琵琶や琴、笛など邦楽器が使われてるのもいいですね。

 まぁ~、横溝さんの金田一モノは、封建的な日本の風土の中で、いかに探偵小説を成立することが出来るか? という実験でもあった訳で。ふすまや、障子の家の中にいかに密室殺人を成立させるのか?というような。だから、邦楽器が登場するのは当然といえば当然ですけどね(笑)。


 好きだから、完全に贔屓目ですが、各曲、「金田一耕助の冒険」というタイトルにあってると思うんですよね。探偵小説の狂言回しの役柄としては、キャラ立ちしてる(映画等の映像による影響も強いんでしょうけど…)金田一耕助の、飄々とした感じが出てると思うんですよね。どうでしょうか?

 各3氏とも、特徴があって面白いですよ。特に、羽田健太郎さんは、シンフォニック・ジャズロック路線ですね。

 7曲目、ハネケンさん作編曲の”迷路荘の惨劇”では、冒頭に”展覧会の絵”が出て来て(笑)。

 10曲目、羽田健太郎さん作編曲の”犬神家の一族”なんですけど…。”犬神家の一族”といえば、やっぱり、映画版の大野雄二さんの曲を想像しますよね。ところが、全然違う、ピアノ曲になってて、驚きますよ(笑)。


 CD化に伴って、ボーナストラックが9曲(!)追加収録されています。

 前述の大野雄二さんの角川映画「犬神家の一族」のテーマ曲の、金子由香里さんのヴォーカルバージョンや、映画「女王蜂」(1978年)の塚田三喜夫さんが歌うテーマ曲、テレビ版「横溝正史シリーズ」の茶木みやこさんが歌うテーマ曲、テレビドラマ版金田一耕助の古谷一行さんが歌ってるテーマ曲とか。

 個人的には、茶木みやこさんの”まぼろしの人”、”あざみの如く棘あれば”の収録がうれしかったですね。このテレビシリーズ、DVDを持ってるくらい好きなんですよ。このアルバムがCD再発した頃(2000年)は、茶木みやこさんのこれらの曲が収録したアルバムは、まだCD再発してませんでしたから。

 古谷一行さん、歌うまいです(笑)。