橘外男「双面の舞姫」 | 行雲流水的くっぞこ

橘外男「双面の舞姫」

 中学校の時に学校で借りて読んで、橘外男の名前が心に刻まれた作品です。

ストーリーもうろ覚えなのですが。(断っておきますが、「少女の友」という少女雑誌に連載されていたジュブナイルです。)

 日本の富豪の娘が家族旅行中に誘拐されます。身代金を払っても、その娘は帰ってきません。しばらく経って、大阪駅から「駅に、らい病患者の娘がいるのですが、あなたの娘ではないか?」と言う電話があります。駆けつけると、その娘は富豪の娘で、らい病にかかって、駅に放置されていました。

 そんな富豪の娘をねらった誘拐事件が頻発していて、誘拐された娘に事情を聞くと、誘拐した男はらい病患者で、娘は絵のモデルにされますが、絵を描き終えると、誘拐した男の血を注射されて、らい病をうつされて開放される、ということでした。

 刑事が、長崎の山奥にあるアジトを突き止めます。犯人が言うには、「俺の祖先は、平家の落人で、数百年間、外界との関係を絶ってきた。そのため、近親結婚がつづいて、血が濃くなり、らい病になってしまった。村人は死に絶えたが、残った俺一人で、世間に復讐したい」というのが動機でした。

 強烈なストーリーです。とても、少女雑誌に載せる話ではないですよね。

 今では近親結婚から、らい病にかかる、などと言うのも、否定されているので、もう復刊することも無いでしょうけど。橘氏がこの作品を書いたのが、昭和28年で、それが当時の常識だったのでしょう。