▲ホテルの朝食
長崎産に拘った採集人
2023.7.2
対馬産オオクワガタはいずこへ。。。
博物館で見た素晴らしいフォルムが頭をよぎる。
いろいろな方の採集記見ると対馬産オオクワは、ほぼ材割りで採っているようだ。
でも、私としては樹液にいるオオクワガタの姿を見てみたい。
今はその想いが強い。。。
▲ジブリ的なバス停
本日は昨日の地元採集人・嶺さんから教わったポイントから回る。
現地には30本ほどの細クヌギが林立。
思い返してみると、このすぐ近くを通っていたはずだが気付かなかった。
「ポイントとはそんなものだ」
▲ギネスまでもう少しの極小ノコギリ♂
軽く爆裂したクヌギにはコクワ、極小ノコギリ、ツシマヒラタ♀が潜り込んでいた。
「あれ?」
「これって」
「スジクワ♂だ」
初めて見る対馬産スジクワは、かなり可愛いサイズだけれども
顎先はコクワのそれと違っていた。
▲対馬で出遭ったクワガタ4種目スジクワ♂
「まだまだ、探し方が足りないなぁ・・・」
また反省である(苦笑)
このポイントは一通り見て、次は昨日も行ったヒラタの多産ポイントへ。
「おぉっ、今日もいるいる~♪」
ここは何度来てもツシマヒラタやノコギリがいる。
不思議だ?
▲スズメバチも多いので注意が必要
▲このツシマヒラタは70mmオーバーだった
ツシマヒラタは対馬では思いっきり普通種であるが、樹液を舐める
姿は何度見ても感動する。
「ガサガサ、ガサッ」
何やら人の気配が!!
どうやら林の反対側から採集人が入っているようだ。
私は一旦林を出て、採集人が出て来るのを待った。
暫くした後、出て来たのは濃紺のキャップを被り、首にタオルを巻いた
いかにもという感じの男性。
話しをすると、長崎県佐世保の大石さんという方で
昔はクワガタ販売もしていたという元プロ。
▲採集人オーラのある大石さん(撮影許可をもらっています)
もう歳なので、手を広げず長崎県の虫だけに拘りを持って
採集を続けているとの事。
ちなみに対馬のオオクワガタは材割りで採集済みなので
今回は未採集のチョウセンヒラタに的を絞っての来島なのだとか。
「オオクワよりチョウセンヒラタは難しいのか・・・」
大石さんとは暫しクワ話で談笑。
電話番号を交換して別れた。
幻の対馬オオクワ
大石さんの話や過去の採集情報から推察した生息地域を回るが、
簡単にご神木が見つかるわけもなく、空振りが続いた。
集落と集落の間にある道沿いに太くて立派なスダジイがあった。
車から見上げると地表から高さ8メートルあたりにコブの
ようなものがあり、2、3匹のカナブンが動き回っている。
▲この角度からは見えないがコブ上に窪みがある
「いい感じだけど、高すぎる」
離島でレンタカーなのでいつもの脚立も無いし長く伸びる網も無い。
車を止めて、首が痛くなるほど見上げていると、何やら中型サイズのドルクスが
コブの窪みでモゾモゾとやっていた。
「もしかして、オオクワ?」
デジカメで撮って拡大しても遠すぎるためか判断がつかない。
どうしたら・・・。
今ある道具は小さな網と掻き出し棒くらい。
私は辺りを見回して丈夫な枝が落ちてないか探す。
しかし、あのコブの高さに届く枝は見当たらない。。。
「そうだ結束バンドが数本ある」
枝のつなぎ合わせ作戦だ!!
落ちていた3本の枝をつなぎ合わせてインスタントロング掻き出し棒を制作。
グラグラしながらもコブ上の窪みをカリカリカリ、
カリカリッ、カリカリカリ。
ポキッ!!
ロング掻きだし棒は折れ曲がり1本は斜面に落ちて行った!!!
ダメだこりゃ~
結束バンドも足りないので、どうする事も出来ない。
暫くの間、その場で立ち尽くしコブをただ見ていた。
「そんな時もある」
ここは諦め、オオクワとチョウセンヒラタの探索は続く。
小さなヒラタ♀はチョウセンの可能性もあるので、なるべくケースイン。
(後で写真を撮って拡大。ヒラタ♀の眼縁突起が複眼全体を覆っていれば
チョウセンヒラタ♀なのだ)
ここまで確認したクワガタは4種。
嗚呼、一体他のクワガタたちはどこにいるのだろう・・・
▲対馬は広い
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個人的には感激のクワ姿
明日は午後の便で帰らなくてはいけない。
10カ所ほど仕掛けたバナナトラップの回収もあるし、
じっくり探せるのは今日が最後だ。
時刻は16時を回った。
標高のある山道を走行。
この山間は木々の繁茂により暗いが、太い樫や椎、アベマキやコナラなどの広葉樹が目立つ。
樹液らしきものが見えると車を止めて周囲をルッキング。
すれ違う車は30分に1台ほどなのでじっくりと見る事が出来る。
中腹部のカーブに差し掛かった時だ。
アベマキの木に樹液が滴っていた。
ぱっと見は何もいないように見えるが木の裏にいるかもしれない。
根際に近付くと
素晴らしい光景が目に飛び込んで来た!!!!
ネブトだ!!!
▲樹液に頭を突っ込むネブトクワガタ♂(対馬でクワガタ5種目を確認)
樹液に頭をこれでもかと突っ込み、背中には乾いた泥がうっすらと付いている。
光沢と泥乾きによってメリハリが出来、ネブトらしい上翅を見せつけている。
そして、おそらく大歯だ。
西日本では普通に見られるネブトであるが、私の住む千葉県では超希少種。
自身、千葉のオオクワガタは数年に一度の頻度で採っているが、
ネブトはたった一度っきり幼虫を採ったのみだ。
八丈島では材起こし採集だったので、樹液ネブトは生涯初。
しかも生態図鑑で見るようなスチュエーション。
残り少なくなった採集時間の中で感激の瞬間だった。
結果、このアベマキからはネブト2♂1♀を採集。
▲ネブトの♀もいた
やはり
いるところにはいる
▲採集した対馬産ネブト(約24ミリ)
まだまだ修行が足りないのを痛感した。
そして、日は暮れ最終夜の外灯回りはショボショボでしたが、
対馬名物の漁火をたっぷりと堪能。
心癒されました。
▲美しい漁火
最終日に続く