やっぱりいた!!

 

8月22日

 

採集日ラスト、私はそのまま新潟に留まっていた。

 

 

 

 

実は実績ある山形に逃げようかと考えていた時、

 

私のもとにセキネさんからのLINEが入った。

 

 

 

 

「ふじさん、今晩も新潟なら私はライトやりに行きますよ」

 

と言って来たのだ。

 

 

 

 

 

"水銀灯の情報をくれたセキネさんが東京から来るというのに

山形に逃げるわけにいかない"

 

 

 

"採れなくてもいい、この地で外灯回りを終えよう"

 

そう決めた。

 

 

 

 

どうせ今夜も採れないだろうから、セキネさんと会って楽しもう。

 

 

 

 

そして、昼間はあの休耕田の池でゲンゴロウに遊んでもらう事にした。

 

 

 

 

昨夜、車中泊をしながら

 

どうしてもゲンゴロウの事が頭から離れなかった。

 

 

 

 

 

あれはゲンゴロウに違いない。

 

 

 

 

 

なんとかそれを確かめたい。

 

 

 

 

 

そんな事を考えているうちに秘策を思い付いた。

 

 

 

 

それを実行するのだ。

 

 

ゲンゴロウは隠れるのが上手いので、網でガサガサやる事よりも

 

餌で誘き出す事にしたのである。

 

 

 

 

 

 

昨夜、スーパーに買い出しに行ったついでに無添加の煮干しを購入。

 

 

 

 

これを休耕田池で使ってみようという作戦である。

 

 

 

 

 

迷いながらも現場に着き、さっそく煮干しを5匹ほど水に浮かべてみた。

 

 

 

 

 

3分、5分、、、

 

 

 

 

 

なんの反応も無い。

 

 

 

 

 

 

8分、10分、煮干しが湿って水没し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

スイスイスーーーーーッ

 

 

 

 

 

どこからともなく現れた丸っこい虫が煮干しにガブリっ!!

 

 

 

 

が、それは黒ゲンゴロウだった。

 

 

 

 

 

「やっぱり、見間違いだったのかなぁ・・・」

 

 

 

 

スーーーーッ、ぷかぷか~

 

 

 

 

いきなり、クロゲンの倍近くある影が煮干しに食らいつき、

 

引きずり込もうとしている。

 

 

 

 

ゲンゴロウだ!!!

 

 

 

「やっぱり、いたんだ」

 

 

 

ザバッ!!

 

 

 

 

たも網の中には凄い勢いで逃げ回り網をよじ登るゲンゴロウがいた。

 

 

 

 

 

人生初のゲンゴロウ採集に成功した。

 

 

 

 

なんとも言えない喜びがこみ上げる。

 

 

 

 

 

 

この子は前足に吸盤がないからメス。

 

 

 

数分後には吸盤のあるオスも簡単に掬うことが出きた。

 

 

 

 

オオクワに会えていないが、テンションは瀑上がり状態。

 

 

 

 

 

他にも何匹かいるようで、その姿をカメラに収めた。

 

 

 

 

 

新潟の自然の豊かさに改めて感謝だ。

 

 

 

 

 

 

ゲンゴロウについては飼育が大変なので持ち帰らないが、セキネさんに見せてから

 

リリースしよう(セキネさんは水生昆虫マニアでもある)

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ラストナイトが始まる

 

天候は晴れ。

 

18時で気温は29℃。

 

 

 

 

 

本日も高温が続くが、インターンのお兄さんは

 

「猛暑続きでもオオクワだけは採れますね。

 

よく分からないけど」と言っていた。

 

 

 

 

福島でライトトラップをよくやるクワ友も、

 

 

「最近のオオクワは気温が低くても高くても飛んで来ますね」

 

と同じような事を言っていた。

 

 

 

 

 

 

私は、そのプラスの言葉を信じて気合で回るのみだ。

 

 

 

 

 

と、その前にこことは違う路線の山際でライトを準備中のセキネさんのもとへ。

 

 

 

 

ちなみにセキネさんはこの道30年近い超ベテラン。

 

 

 

 

本日のトラップ場でも過去に新潟オオクワを採っている。

 

 

 

 

1時間ちかくかけてセキネさんの灯火場に着くと、点灯したばかりの大きな水銀灯と

 

わんぱく少年のような笑顔を浮かべたセキネさんがいた。

 

 

 

 

 

 

セキネさんとの出会いは山形のレア産地で夜中にバッタリ出会ってからの

 

付き合いである。各地のオオクワはすでに手にしているので、余程の事がなければ

 

オオクワが来てもリリース、または人にあげてしまう方だ。

 

(もちろん個体によっては持ち帰る場合も稀に)

 

 

 

 

 

要は自然の中に身を置いて採集している時間が最高の癒しになるのだとか。

 

 

 

 

 

セキネさんと再会後、暫くは雑談談笑。

 

 

 

 

と言ってもお喋りばかりではオオクワには出会えないので、

 

 

 

 

「セキネさんに会って、パワーをもらった気がするので採れるかも~」

 

と言って、私はインターンお兄さんのポイントへ。

 

 

 

 

 

 

くねくねの山道を抜けて、水銀灯が並ぶポイントに着くと

 

なんとライバルらしき車が!!!!!

 

 

 

 

 

 

声をかけると、その方は仕事でこの地によく来ていて、ここが明るいから来たと。

 

 

 

 

 

「じゃ、お互いに頑張りましょう」と言って私は別の方向へ。

 

 

 

 

良いと思われるポイントに先に着いたのはその人。

 

 

 

 

 

ちょっと残念だけど譲らないといけないのである。

 

 

 

 

 

考えてみたら3晩目で初めてのライバル。

 

そんな地でオオクワが採れたら逆に凄いのでは・・・。

 

ライバルから離れて最初の水銀灯を見る。

 

 

 

 

 

 

 

「げっポーン

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

 

 

「いきなり」

 

 

 

 

 

そこにはオオクワガタの♀が鎮座していたのである。

 

 

 

 

羽の点刻が光に浮き上がり、重厚感も光沢もたっぷり。

 

 

 

 

 

やった!!!

 

 

 

3日目にして新潟産オオクワガタ初ゲットだ!!!

 

 

 

 

 

すぐにセキネさんにLINEをして、1時間ほどかけて

 

セキネさんの灯火場へ走った。

 

 

「ふじさん、やりましたね~」

 

「この辺の♀としては大きいほうじゃないんですか」

 

採集したオオクワ♀は38ミリ。

 

 

 

 

 

セキネさんやインターンお兄さんの話では、

 

このあたりのオオクワ♀は35、36ミリが多いらしい。

 

 

 

 

その平均サイズから放虫など人の手の入らない純血、そして野性味を感じた。

 

 

 

 

だいたいライバルがいないという事からも推測出来るのだ。

 

 

 

 

 

セキネさんの成果を聞くと普通種が数頭。

 

 

 

 

私は傍らで見学させてもらいながら、スーパーの弁当を食べるウインク

 

 

 

 

 

私にとっては、いい時間だ。

 

 

 

 

 

「自分は誰一人いない山の中でもライトをやるけど、

 

 

やっぱり知り合いがいるのは嬉しいし楽しくなるよ」とセキネさん。

 

 

 

 

 

時刻はまだ午後8時過ぎ、私は再びここに来ることを告げてさっきのコースへ。

 

 

 

 

 

戻りながら水銀灯やナトリウム灯、LEDもよく見るが、虫は多くない。

 

 

 

 

コクワ♂、ノコギリ♀を拾うがオオクワの姿は無い。

 

 

 

 

セキネさんの方は、午後10時には撤収すると言っていたので、

 

 

最後にもう一度会いに行く。

 

 

 

 

「いや~、今日はダメだねぇ」

 

 

 

 

「ふじさん、これ見てよ」

 

 

 

 

セキネさんの手持ちランプにはカメムシがビッチリニヒヒ

 

 

 

 

 

「蛾は少なくていいけど、カメムシには参るね」。

 

 

 

車の中にまで入っていて、後が大変らしい。。。おぞましい・・・

 

 

 

 

 

「あっ、セキネさん、ゲンゴロウ採りましたよ」

 

 

 

 

と見せると「足が綺麗に尖っていていい個体だね」

とお褒めの御言葉。

 

そして、これからゲンゴロウをリリースしに行くと話すと、

 

「この辺りはゲンゴロウが濃いから放しても大丈夫だよ」と。

 

 

 

 

リリース後はセキネさんの撤収をお手伝いしてセキネさんに別れを告げる。

 

 

▲セキネさんと私

 

 

 

 

時刻は午後11時を回っているが、

 

 

私はもう一勝負がしたくなり三度先ほどのコースへ。

 

 

 

 

3晩目でラストナイトだから無駄には出来ないのだ。

 

 

 

 

 

各外灯の下は、まるで誰が掃いたかのように綺麗にサラリとなっていた。

 

 

 

 

 

 

「さっきのが、珠玉の1頭だったのかなぁ・・・」

 

「もう越後採集も終わりか・・・」

 

静かな集落の中を走っていると

 

道路の真ん中に何か黒いものが見えた。

 

 

 

 

 

 

 

なんだろうと

 

車を降りて近づくと

 

オオクワ♀がうずくまっていた。

 

 

 

 

 

轢かれた様子はない。

 

 

 

 

 

「やった!!!2頭目の新潟オオクワだ!!」

私は写真を撮り、一体どの明かりに飛んで来たか辺りを

 

キョロキョロ。

 

 

 

 

 

「えっ、まさか、あれか」

 

そこにはLEDライトが一つ。

 

 

 

 

しかも、女子が持ってくるお弁当箱くらいの小さな灯り。

 

 

 

 

「こんなLEDに来ることあるのかよ」

 

 

 

 

相変わらず、オオクワガタは分からん!!

 

それから、このオオクワ♀、先ほどの♀より大きいのだが、

 

やたら軽い。

 

 

 

 

時々、そんなオオクワ♀を捕まえることがあるが、

 

かなりの空腹状態なのか?

 

それとも卵を産んだばかりで腹の中がスカスカなのか?

 

取り敢えず、ケースに収めてゼリーをあげると

 

案の定ゼリーにかぶりついていた。

 

 

 

 

 

2頭採れれば、もう十分だ。

 

 

 

 

 

もう帰ろう。

 

 

 

 

 

こうして、3日かけてメデタク新潟県産初採集となりました。

 

 

 

 

 

今回のオオクワ採集は新潟の外灯事情を教えてくれ最終日に来てくれた

 

セキネさんやポイントを教えてくれたインターンのお兄さんとの出会いがなければ

 

達成出来ていない。

 

 

 

 

 

やはり、虫も人も出会い。

 

 

 

 

 

出会ってくれて有難うなのだ。

 

 

8月22日成果

 

ノコギリ1♂2♀♀

コクワ 1♂

オオクワ2♀♀(38mm、41mm)

 

▲左から新潟産41mm、新潟産38mm、南会津産39.5mm

 

追伸・・・新潟オオクワの最初の♀は産卵してくれましたが、

体が軽かった2頭目は産卵しませんでした。