▲癒しの風景に身を置く
遠征3日目、某道の駅で目を覚ます。
今回の採集旅は車中4連泊(南会津1泊、新潟3泊)。
車がフルフラットではないので、身体を伸ばせないのは辛いが、
オオクワを採るためならば我慢出来る(苦笑)。
本日昼間は時間があるので、環境を把握するために山間部を走り、
時折樹液探しもする予定だ。
しかし、何度も言うが、今日も今日とて、とんでもない暑さだ。
山側に向かって30分ほど走ると車外気温は36℃を表示していた。。。
時刻はまだ9時過ぎだ。
それでも怪しい林があると、車から降りて探索を繰り返す。
だが、カナブンすら見当たらない・・・
「この地のクワガタたちは、どこで樹液を吸っているのだろう?」
木の高所だろうか・・・それでは手が出ない。
▲かなり上がって来ました
汗を拭きながら周囲を見渡すと、田んぼと森林と山々の緑一色。
スケールが大きすぎて吸い込まれそうだ。
「自然が猛威を振るっている」
そんな言葉を思い付く。
▲各所にこんな看板があります(汗)
▲細いブナ林が少々
地元民しか使わないような狭い坂道を下って行くと道路沿いに休耕田の水たまりを発見。
車を止めて何気にそっと覗いてみた。
▲あまりにもクワガタがいないので水生昆虫探し・・・
中央部には大きな鯉が1匹、足元近くの藻に目をやると何だか丸っこくて、
やや大きい虫が藻に掴まっていた。
も、も、もしかして、ゲンゴロウ?
ホンゲンか!!!!!
興奮する私。
チャポ~ン!!
そいつはあっという間に姿を消した。
私は一時、水生昆虫にハマった事もあり、ゲンゴロウは憧れの虫の一つだった。
ちなみに私が住む千葉県では
ゲンゴロウはすでに絶滅種とされているだけに興奮は収まらなかった。
タモ網を片手に水面を凝視。
ゲンゴロウは呼吸するために時々水面にお尻を出す。
(お尻で呼吸するところがカワイイ)
その時がチャンスだ。
藻の間を泳ぐ姿が時折見える。
「よし、今だ!!!」
ザバッ
「やったぞ!!」
ワクワクしながら網を覗き込むとゲンゴロウだと思っていた個体は
ひと回り小さなクロゲンゴロウに変身していた。
▲クロゲンゴロウ
こいつなら千葉にもいる・・・
「おかしいなぁ・・・」
「ゲンゴロウのはずだったのに~」
と言っても実際ゲンゴロウを採ったことのない私。
見間違いだったのだろうか・・・
その後、何度か掬ってみるがゲンゴロウらしき姿を見る事がなかった。
泥に潜ってしまったのか・・・
絶滅危惧種Ⅱ類、残念だ。
う~ん、それにしても暑い。
ゲンゴロウとの奮闘が終わると暑さが一気に襲って来た。
シャツはびしょぬれ、頭もくら~っとする(ヤバい)
ここは一旦、近場の温泉に避難して食事でもしながら作戦を考えよう。
露天風呂に浸かりながら周りの景色を改めて見るが、
やはり山々は低く、植林も目立つ環境。
「ほんとにこの地に
オオクワガタはいるのだろうか?」
疑心暗鬼が襲う!
こんな時は気分転換した方がいい。
私は差ほど遠くないところに資料館的施設があるのを地図で発見。
そこに行けば新潟で採れる虫の標本なんぞがあるのではないだろうか。
30分ほど走り到着した施設内には
案の定新潟ラベルの虫標本が並んでいた。
セキネさん情報のあった町のオオクワ標本も並んでいた。
「カッコいい」
やはり、生息している事は間違いないようだ。
しかし、どこにいるのかはサッパリ。
見当もつかない。
施設を後にしようとすると
籠ワナを洗うお兄さんが一人。
「なんですか、それは?」
声をかけるとお兄さんは
「ザリガニ駆除用のワナです」と。
私がゲンゴロウらしき虫の話をすると、
「ゲンゴロウなら、その先に見える休耕田にもいますよ」
「たしか、このあたりのゲンゴロウは7種類」
「普通にいますね」とお兄さん。
なんという環境だ。。。それだけ水が綺麗ということ。
さすが米どころ新潟県、
素晴らしすぎる~
▲ひさしぶりの水カマキリ
「自然が豊かですからね」と話すお兄さんに
「私は千葉からオオクワガタを採りに来たんですが、いますか?」
ストレートに聞いてみた。
「いますよ、つい数日前も外灯で採りましたから」
「私はインターンで来ていて夜は外灯回りをしていますが、いるところにはいますね」
(なんという話だ・・・)
私は昨夜採れなかった事を話すと、そのポイントもいない事はないが
少ないと教えてくれた。
「そうですか・・・・・・・」
すると、私がクワガタが採れない疲弊しきったおっさんに見えたのか
親切にも1つのポイントを教えてくれたのだった。
お兄さんは明日からは青森で研修があるので今日が新潟ラストとのこと。
なんとも有り難い情報。
そして、なんとも有り難い出会いなんだ。
私の中のルールとしては採集地に行く前に色々な方に
ポイントを聞きだすのはあまり良しとはしていないのだが、自分が
行動を起こして現地で聞く生の情報は大歓迎なのである。
そして、夕刻
「よし、今夜はインターン
お兄さんポイントを巡ろう」
「今日はきっと採れるぞ~♪」
▲雰囲気のある山
ポイントに差し掛かると山々には霞がかかり、
木々には樹氷の如くツタがこんもり、
空には鳳凰のような雲が浮かんでいた。
「空気も違う」
「い、る、な、ここ」
まずは軽く流すと、LEDが多いが水銀灯やナトリウム灯もそれなりに残っている。
日没を迎え、グラデーションがかった青紫の空には三日月がぽっかり。
「なんて、いい光景だ」
「期待できる」
何か不思議な自信が湧いて来た。
リーン、リーン♪
周りの藪からは鈴虫の大合唱が、、、
いや、鈴虫だけに輪(りーん)唱か♪(上手い事言ったつもり)
気力十分で外灯を回るが、20時を過ぎてもクワガタがいない。
「こんなはずはない」
しかし、明かりの下にいるのはクロコガネ、コオロギ、スズムシばかり。
21時近く、やっとノコギリクワガタの♀を拾う。
その30分後にまたノコギリ♀。
そして、またノコギリ♀。
なんだか、芳しくない
猛暑のせいか?
▲ミヤマは小さい
この地も山は低く、ブナなどはなさそう。
「ホントにここで採ったんだろうか…」
疑心暗鬼がまた始まる。
まったく俺ってダメな奴だ・・・。
で、結局この夜もオオクワガタとの出会いは無かった(若い熊とぶつかりそうにはなったが)
明日はラストナイトだが、大丈夫だろうか・・・
いっそのこと、ポイントを熟知した山形に移動した方が良いのかもと、
弱気の虫が出て来た。
令和5年8月21日成果
ノコギリ・・・3♂♂3♀♀
ミヤマ・・・・1♂
コクワ・・・・1♀