▲胸と腹が分かれてしまつたのでボンドで補修してあります。

 

 

 

このオオクワガタの標本は私が千葉県内で

 

最初に採集したオオクワガタです。

 

1996年7月6日の事ですから

 

今から25年も前になります。

 

 

当時、私は千葉クワガタクラブの一員として

 

会誌作りを担当していました。

 

会長は虫だけでなくあらゆる生き物が好きな

 

ムツゴロウさんみたいな心優しいK会長。

 

会員は千葉県、大阪などにいて約30名。

 

みなさん、クワガタ採りに熱心で特にオオクワガタに関しては

 

とても燃えていて山梨材割りを得意とする人、福島外灯採集を得意とする人、

 

ブリードを得意とする方などなど。

 

会員の中には千葉県産採集に成功した方は10名近くいたと思います。

 

そんな中、情報収集を大の得意とする製薬会社にお勤めのSさんが

 

千葉県東部地区にある民家の楡でオオクワガタが採れるという情報を手に入れて

 

来ました。なんでも、そこの家の子供が採集した70オーバーを千葉の有名業者が

 

買い取ったという話もあるとか。

 

 

 

ある時、会長と共にそのお宅を訪れてご神木である楡の木を見せてもらいました。

 

 

 

オオクワの樹がある家のおじいさんにはご挨拶して毎年夏には

 

見にいけることに。(私自身はその後10年くらい続けて夏前には菓子折りを持って

 

挨拶に行っていました)

 

 

 

実はこの樹は近所では有名で夏になると何人かの地元採集人が来ていました。

 

民家の庭の樹なのですが、広いお宅の防風林の一角という感じなのです。

 

 

 

 

そして、この所有者であるおじいさんも毎年来る採集人のために

 

その大木楡に梯子を掛けてくれていました。なんと親切な方なんでしょう。

 

 

 

 

私は千葉県産オオクワガタを自分の手で採りたくて

 

シーズン中10回くらいはそのお宅の大木楡を見に行っていました。

 

 

 

 

この楡は2メートルくらいのところにバスケットボールほどの穴が開いて

 

いて、またその上、そしてまたその上にはハンドボール大の穴。

 

 

下の方の穴付近や小枝の元付近ではヒラタがよく採れました。

 

オオクワとヒラタが共存している楡でした。

 

 

 

そして、前記したように1996年7月6日、ついにその日はやって来ました。

 

下の方にライトを向けると染み出した樹液にコクワやカナブンが

 

ちびヒラタもいたような気がします。

 

その辺の記憶はこの後の出来事が私にとっては衝撃的だったので

 

はっきりしませんが何となくそんな感じだったような・・・。

 

 

 

そして、暗闇の中、上の方、梯子のちょうど一番上段の少し上を照らした時です。

 

 

 

ハンドボール大の穴の下方に何やら尖った角のようなものが少しだけ見えたのです。

 

 

えっ、

 

えっ、えっ

 

オオクワ!!!!!

 

 

 

私は必死に梯子を上ります。

 

 

 

 

最上部に立ち、幹に体を預けながらライトを照らすと

 

さっき見えた角が見えません。

 

 

 

 

そりゃぁ、梯子を上っているわけですから、クワガタなら振動で

 

穴に隠れてしまいます。

 

 

 

私は必死に穴の淵に手を伸ばして探ります。

 

 

 

その時、何か硬いものが手に触れました。

 

 

 

 

高さは下から4~5メートル。

 

 

不安定な梯子の上で、ただただ必死に手に触れたそいつを

 

穴内から引っ張りだします。

 

採れました!!!

 

オオクワガタです!!!!!

 

当時はLEDライトなんぞもありませんから

 

電池が弱くなったオレンジ色っぽい懐中電灯の光で確認。

 

やりました。

 

ついに千葉県産オオクワガタを手にしたのです。

 

サイズは61ミリ。。。

 

帰りがけ何度もオオクワを確認、途中で会長に報告電話(テレカで公衆電話から)

 

入れて感動のまま帰宅しました。

 

 

 

 

ちなみにそのお宅のオオクワの樹は何年も前に雷が落ちて半分になり、

 

その後片付けられてしまいました。

 

 

人工的な最期ではなく、自然界的な最期だったのがせめてもの慰め。

 

 

 

また、千葉でそんな樹に出会いたいものです。