ノーベル平和賞「私はふさわしくない」 | kuwanakenのブログ

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 今年のノーベル平和賞は、ロシアのドミトリー・ムラトフさんと、フィリピンのマリア・レッサさんに決まりました。どちらも政府への対立活動を続けるジャーナリストです。プーチン大統領とドゥテルテ大統領が相手です。

 

 ドミトリーさんは発表を受けて「私にはふさわしくない」と述べました。日本で馴染みの喜びの受賞会見とは随分と趣が違います。「受賞はこれまで殺害された6人の同僚ジャーナリストに贈られるものだ」というのです。

 

 記憶にあるのは、アンナ・ポリトコフスカヤさんです。チェチェン戦争の取材で、政権側から圧力をかけられていました。銃で殺害された日がプーチンさんの誕生日だというから意味深です。警察幹部が有罪判決を受けましたが、黒幕は分かっていません。

 

 ムラトフさんの同僚には、カナヅチで頭を殴られたり、毒薬をもられて殺された人もいます。ロシアは政府に逆らうジャーナリストが殺される国なのです。もっとも、ソ連時代は政府に逆らう新聞社はなかったのですから、一歩進んだともいえます。

 

 世界を見れば、1年で殺害されるジャーナリストは平均80人といわれています。紛争地帯で巻き込まれる人もいますが、多くはポリトコフスカヤさんのように意図的に暗殺された人です。恐ろしい職業に違いありません。

 

 でも、ジャーナリストの取材で僕らは色々なことを知ります。ほとんどは権力者が知られたくないことです。知られたくないことを探ろうとすれば、命を狙われるということです。命懸けの取材は僕らのためのものともいえます。

 

 たとえば、パナマ文書やパンドラ文書です。以前は、タックスヘイブンといえば、ゴルゴ13のスイス銀行か、テニス選手のモナコくらいしか知りませんでした。でも、膨大なデータが明るみになったことで、世界中の権力者の姿が浮き彫りにされました。

 

 日本でも、ジャーナリストが殺害されたことがあります。朝日新聞襲撃事件です。それ以降、犠牲者が出たという話を知りません。日本はジャーナリストが殺されない国か。それとも、権力に逆らうジャーナリストがいない国か。